2019年8月23日号 Vol.356

BAMの映画チームが選ぶ
思考を刺激する作品
「プログラマーズ・ノートブック:記憶」


「ブンミおじさんの森」Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives, 2010. Directed by Apichatpong Weerasethakul


「ツリー・オブ・ライフ」The Tree of Life, 2011. Directed by Terrence Malick


「エターナル・サンシャイン」Eternal Sunshine of the Spotless Mind, 2004. Directed by Michel Gondry


「羅生門」Rashomon, 1950. Directed by Akira Kurosawa


ブルックリンのBAMローズシアターで8月28日(水)から9月5日(木)まで、「プログラマーズ・ノートブック:記憶(Programmers' Notebook: On Memory)」と題した上映会が開催される。BAMの映画プログラミングチームが、「思考を刺激する作品」を独自に選出・紹介する。シリーズ2回目。今年2月には、「愛」をテーマに15本が上映された。

今回は「記憶(On Memory)」をテーマに14本をラインナップ。
初日は、テレンス・マリック監督・脚本の「ツリー・オブ・ライフ」。物語の舞台は1950年のテキサス。厳格で教育熱心な父(ブラッド・ピット)と、聖母のように優しい母(ジェシカ・チャステイン)に育てられた3人の息子たち。そんな両親は互いの教育方針の違いから口論が絶えない。そして、長男のジャックが19歳の時、次男が自殺。大人になり、家を出て成功したジャック(ショーン・ペン)の脳裏に浮かぶのは、昔のことばかりだった。
ある家庭を舞台に、宇宙や生命の神秘をテーマにした壮大な物語だが、その「難解さ」に賛否が別れた。

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の「ブンミおじさんの森」は、タイの僧侶が書いた「前世を思い出せる男」が原作。
肝臓病に侵されたブンミは、自らの死を悟る。ゆったりとした時間を過ごそうと、亡き妻の妹ジェンと、その息子トンを自宅へ招き夕食を取っていた。その時突然、 19年前に亡くなった妻の霊が現れ、行方不明の息子も「猿の精霊」となって姿を見せる。再会を喜ぶ家族は、森へと向かう。
第63回カンヌ国際映画祭で、タイ映画史上初めてパルム・ドールを受賞。ティム・バートン監督に「美しく、奇妙な夢を見ているようだ」と言わしめた作品。

ミシェル・ゴンドリー監督の「エターナル・サンシャイン」は、コメディアンのイメージが強いジム・キャリーが、シリアスな演技を見せている。
バレンタインの直前に喧嘩をしてしまうジュエル(ジム・キャリー)とクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)。仲直りしようとするジュエルだが、クレメンタインは彼を他人のように扱う。実は彼女、ジュエルとの記憶を消す手術を受けていた。ショックを受けたジュエルは、彼女との思い出を消そうと、同じ手術を受ける。そして互いの記憶を消した2人が、再び出会う。
夢と現実が入り交じった幻想的な恋愛ファンタジー。

その他、人間のエゴを描いた黒澤明監督の「羅生門」、アンドレイ・タルコフスキー監督の自伝的映像詩と言われる「鏡」、第二次世界大戦中のフランス領モロッコの都市カサブランカを舞台にした恋愛ドラマ「カサブランカ」など、 往年の名作も登場する。全スケジュールおよび詳細は、ウェブサイトで確認を。

Programmers' Notebook: On Memory
■8月28日(水)〜9月5日(木)
■会場:BAM Rose Cinemas
 Peter Jay Sharp Building
 30 Lafayette Ave., Brooklyn
■一般$16
www.bam.org

○Tree of Life
 8/28(7pm)、8/30(9:15pm)
○Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives
 8/31(6pm)
○Eternal Sunshine of the Spotless Mind
 9/5(7pm)



HOME