2019年9月6日号 Vol.357

開幕は「ポーギーとベス」
30年ぶりの再演
メトロポリタン・オペラ


「ポーギーとベス」Eric Owens and Angel Blue in "Porgy and Bess." Photo: Paola Kudacki / Met Opera


「ヴォツェック」Peter Mattei in "Wozzeck." Photo: Paola Kudacki / Met Opera


「アグリッピーナ」Joyce DiDonato in "Agrippina." Photo: Paola Kudacki / Met Opera


「アクナーテン」A scene from Glass's "Akhnaten." Photo: Richard Hubert Smith / English National Opera


「さまよえるオランダ人」Bryn Terfel in "Der Fliegende Holländer." Photo: Paola Kudacki / Met Opera


9月23日(月)からメトロポリタン・オペラの今シーズンが開幕する。
オープニング・ナイト・ガラは、ジョージ・ガーシュウィンの「ポーギーとベス」。1920年代のチャールストンの黒人社会を描いた傑作。ジェイムズ・ロビンソンの新演出でMETでは、30年ぶりの再演となる。指揮はデイヴィッド・ロバートソン、ポーギーにエリック・オーウェンズ、ベスにはエンジェル・ブルーが扮する。誰でも知っている「サマータイム」は、クララが歌う子守唄。本格的なオペラ歌手の歌声での「サマータイム」をぜひ堪能してほしい。
ガーシュウィンは、アメリカを代表する作曲家でクラシック音楽と、ジャズを融合させた独特の音楽性で「スワニー」や「ラプソディ・イン・ブルー」などを次々とヒットさせ、一躍人気作曲家となった。当時まだ一般には黒人の音楽として軽視されていたジャズの地位をのし上げて、ブームを巻き起こした。ブロードウェイで上演されているミュージカル「パリのアメリカ人」では、車のクラクションの音を使うなど新しい事に挑戦をし続け、「ポーギーとベス」でも黒人霊歌、ジャズを取り入れた革新的なオペラ作品となっている。

その他、今シーズンの新演出作品は、フィリップ・グラス「アクナーテン」(MET初演)、ウィリアム・ケントリッジ演出のアルバン・ベルク「ヴォツェック」、ヘンデル「アグリッピーナ」(MET初演)、ワーグナー「さまよえるオランダ人」の4作品。ブリン・ターフェル主演の「さまよえるオランダ人」には、マリーの役で藤村実穂子(ふじむら・みほこ)が出演する。久々の日本人の舞台に期待が高まる!

ニューイヤーズ・イヴ・ガラには、オペラ界のカリスマ・ディーヴァ、アンナ・ネトレプコの主演でプッチーニの名作「ボエーム(第1幕)」「トスカ(第1幕)」「トゥーランドット(第2幕)」の3作品がMETの音楽監督ヤニック・ネゼ=セガンのタクトで上演される。また、METでも揺るぎ無い実力と人気のソプラノ、ディアナ・ダムラウのリサイタルが2020年3月29日(日)に行われる。ホリデー・シーズンのファミリー・オペラは、ジュリー・テイモア演出のモーツアルト「魔笛」の英語版が上演される。

今シーズンから、今まで休演日だった日曜日の3時からの公演も加わり、更にグレードアップ。「蝶々夫人」「椿姫」など人気のレパートリー作品が20演目も再演され、2020年5月9日(土)まで公演は続く。(針ケ谷郁)

The Metropolitan Opera
■9月23日(月)〜2020年5月9日(土)
■会場:Metropolitan Opera House
 30 Lincoln Center Plaza
■料金は演目により異なる
■ボックス・オフィス:Tel:212-362-6000
metopera.org



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