最新の話題作多数！
日本から「万引き家族」「寝ても覚めても」「儀式」
「ニューヨーク・フィルム・フェスティバル（NYFF56）」
「ザ・フェイバリット」THE FAVOURITE, image credit © Yorgos Lanthimos (Emma Stone)
デフォー演じるゴッホ「アット・エタニティーズ・ゲート」AT ETERNITY'S GATE, image credit © Lily Gavin
「万引き家族」SHOPLIFTERS. Photo courtesy of Magnolia Pictures
「寝ても覚めても」ASAKO I & II.
Ryûsuke Hamaguchi © 2018 NETEMO SAMETEMO FILM PARTNERS COMME DES CINEMAS
今年で56回目を迎える「ニューヨーク・フィルム・フェスティバル」(主催:フィルム・ソサエティ・オブ・リンカーン・センター)が、9月28日(金)から10月14日(日)まで開催される。世界各国から芸術性の高い映画を選出、巨匠から新進気鋭の監督、ドキュメンタリー、短編、リバイバルなど幅広いラインナップだ。
今年の「メイン・スレイト」は30本。
オープニングナイトは、ギリシャが生んだ新鋭監督、ヨルゴス・ランティモスの最新作「ザ・フェイバリット(The Favourite)」。舞台は18世紀初頭。グレートブリテン連合王国を誕生させた初代女王アン。かんしゃく持ちで病気がちなアンを陰で動かしていたのは、幼なじみのレディ・サラだった。そこへ召使いとしてやってきたアビゲイル。彼女は再び貴族の地位を得ようとチャンスを窺っていた。王室内で3人の女性それぞれの思惑が展開される。
午後6時と8時の上映時、ランティモス監督が来場予定。
センターピースは、アルフォンソ・キュアロン監督の「ローマ(ROMA)」。メキシコ・メキシコシティ出身の監督が「90%のシーンは、自らの記憶から取り出した」とコメント。70年代、メキシコシティの「ローマ」に住むある中流家庭。社会の急激な変化は、彼らが持っていた価値観を変えていく。
5日午後6時と9時15分の上映時、キュアロン監督が来場予定。
クロージングナイトは、ジュリアン・シュナーベル監督の「アット・エタニティーズ・ゲート(At Eternity's Gate)」。画家フィンセント・ファン・ゴッホを描いた作品。精神を病み、常に孤独だったゴッホ。ゴーギャンとの共同生活、耳を切り落す異常な行動など、孤高の天才に見えていたものは一体何だったのか…。
ブルックリン出身のシュナーベル監督自身も画家で、友人だったジャン・ミッシェル・バスキアの生涯を描いた「バスキア」なども制作。「ゴッホ役は彼しかいない」と監督が選んだのは個性派俳優のウィレム・デフォー。期待通りゴッホを見事に演じきったデフォーは、今年開催された第75回ヴェネチア国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した。
午後6時と9時の上映時、シュナーベル監督とデフォーが来場予定。
日本からは3本が上映。是枝裕和監督の「万引き家族(Shoplifters)」。定収入は祖母の年金で、必要なものを万引きして生活する5人の家族。そこにネグレクトされていた少女を連れ帰り一家は6人に。貧しいながらも明るく過ごしていたが、ある朝、祖母が老衰で死亡してしまう。「家族を超えた絆」を描いた作品で、第71回カンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)を受賞した。祖母役は、去る9月15日に亡くなった樹木希林。享年75歳。
濱口竜介監督の「寝ても覚めても(Asako I & II)」は、柴崎友香の同名小説が原作。朝子が愛した2人の男性、麦と亮平は別人でありながら同じ顔。昔の恋と今の恋との狭間に、朝子は揺れる。
10月6日、濱口監督が来場し質疑応答が予定されている。
「レトロスペクティブ(懐古)」セレクションで、大島渚監督の「儀式(The Ceremony)」が上映。冠婚葬祭という儀式を通し、血で繋がった人間関係を描く。大島監督が「戦後の民主主義を総括した作品」といわれる作品。
全スケジュール詳細はウェブサイトで。
New York Film Festival (NYFF56)
■9月28日(金)〜10月14日(日)
■会場：上映作品により異なる
■$25（メンバー$20)
オープニング：$100（メンバー$75)
センターピース＆
クロージング：$75（メンバー$50)
■www.filmlinc.org/nyff2018
●The Favourite：9月28日
●Roma：10月5日・10月6日
●At Eternity's Gate：10月12日
●万引き家族：10月6日・10月8日
●寝ても覚めても：10月6日・10月11日
●儀式：10月9日
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2018年9月21日号 Vol.334