2019年10月4日号 Vol.359

芸術的な表現で人間の内面照らす
オープニングは「杉本文楽 曾根崎心中」
「ホワイト・ライト・フェスティバル」(前編)


「杉本文楽 曾根崎心中」Photo © Hiroshi Sugimoto/ Courtesy of Odawara Art Foundation


「アン・マス」En Masse, Circa. Photo by Damien Bredberg


「ザウバーランド」Zauberland (Magic Land). Photo © Patrick Berger


「リチャード三世」Richard III. Photo by Robbie Jack


リンカーンセンターが主催する恒例イベント「ホワイト・ライト・フェスティバル」が、10月19日(土)から11月24日(日)まで開催される。芸術的な表現で人間の内面を照らし、人と人を繫ぐことを目的にした芸術祭だ。
今年は、世界各地から選りすぐられた16作品が上演。よみタイムでは、パフォーマンスを中心とした「前編」と、音楽を中心とした「後編」に分けて紹介する。

オープニングは、日本を代表する伝統芸能のひとつ、人形浄瑠璃文楽の「杉本文楽 曾根崎心中」が上演される。近松門左衛門の人形浄瑠璃を、現代美術作家の杉本博司(すぎもと・ひろし)が、構成・演出・舞台美術を手掛けた作品で、太夫(たゆう)と三味線、人形が一体となった総合芸術。パリ公演時に「ル・モンド紙」から、「杉本は命のない木の人形に、魂を吹き込んだ」と大絶賛された。
ストーリーは元禄16年(1703年)、実際に大阪で起きた無理心中事件がベース。醤油商「平野屋」の手代・徳兵衛と、その恋人・遊女お初の恋物語が綴られる。全4公演。日本文化を海外に向けて発信する「ジャパン 2019」の公式企画。

ダンス公演「アン・マス(En Masse)」は、オーストラリアでコンテンポラリー・サーカスの最先端を走る「サーカ」によるパフォーマンス。2004年の設立以来、ブリスベンを拠点に世界40ヵ国以上で公演を行い、観客動員数は100万人を超える。ダンス、演劇、サーカスというジャンルを超え、人間の身体能力が、いかに強力で感動的なパフォーマンスを創造できるかを追求。力強く、アーティスティックなアクロバットは、「サーカスの革命」と評されている。

ケイティ・ミッチェルが舞台監督を手掛けたオペラ「ザウバーランド(Zauberland )」。作曲家のバーナード・フォクルールと作家のマーティン・クリンプが、ロベルト・シューマンの「詩人の恋」と新曲16作を織り交ぜ、19世紀と現代を対話させる。出演は、ジュリア・ブロック(ソプラノ)、セドリック・ティベルギアン(ピアノ)ほか。

アイルランドの劇団「ドルイド」と、女性初のトニー賞(演出部門)を受賞したギャリー・ハインズが手掛けたシェイクスピアの「リチャード三世(Richard III)」。残忍で狡猾なリチャード三世が王位に就くため、様々な策略をめぐらす史劇。7日と8日の午後7時から、プレビューパフォーマンス有り。

全スケジュール詳細はウェブサイトで。

White Light Festival
■10月19日(土)〜11月24日(日)
■212-721-6500
www.lincolncenter.org/white-light-festival

杉本文楽 曾根崎心中
■10月19日(土)〜22日(火)
■会場:Rose Theater
10 Columbus Cir.
■$20〜
■上演2時間30分(インターミッション有)

En Masse
■10月23日(月)〜25日(水)
■会場:Gerald W. Lynch Theater
524 W. 59th St.
■$45〜
■上演1時間50分(インターミッション有)

Zauberland (Magic Land)
■10月29日(火)・30(水)
■会場:Gerald W. Lynch Theater
524 W. 59th St.
■$35〜
■上演1時間20分(インターミッション無)


Richard III
■11月7日(木)〜23日(土)
■会場:Gerald W. Lynch Theater
524 W. 59th St.
■$35〜
■上演3時間(インターミッション有)
★プレビュー・パフォーマンス
■11月7日(木)7:00pm
■11月8日(金)7:00pm


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