2018年10月5日号 Vol.335

みんなを笑顔にしたい!
バスキングで目指す世界一周
中村鷹人「ダックマン」

ダックマン
タイムズスクエアで

ダックマン
足を止め面白そうに写真を撮るニューヨーカーたち

ダックマン
ダックマンのキメポーズ


ひときわ目を引く黄色いアヒルの着ぐるみに身を包み、地下鉄の駅構内でバケツドラムを叩く「ダックマン」こと中村鷹人(なかむら・たかひと)さん。芸を披露してお金をもらう大道芸人「バスカー」として、世界各地で活動。「とにかく人を笑顔にしたい!」と、パフォーマンスを続けている。
両親の離婚、育児放棄、施設での生活と、中村さんの幼少時代は決して恵まれたものではなかった。「小学校一年生の時、椅子から転げ落ちて牛乳を頭からかぶり、人から笑われたんです。その時に『僕は生きている!』と実感しました。今でも鮮明に覚えています」と振り返る。
高校卒業後は、奨学金を得て大学に進学、心理学を学んだ。その後、非日本人の心理も学んでみたいと思うようになり、「多国籍で英語圏の国」という理由からオーストラリアへ留学。もともと芸人志望だったが、「人を笑顔にできることはないだろうか」と考えていた時に出会ったのが、芸を披露し、金を稼ぐ「バスキング」だった。
「どういったパフォーマンスをしようかと考えた時、楽器などが必要ではないドラミングをやってみることにしました。どんなものを揃えるかは工夫次第。バケツがオリジナルのドラムになるところがいいですね」。ちなみに着ぐるみは「チキン」だったが、通行人から「ダックマン」と呼ばれたためダックへと方向転換。今では黄色の衣装がトレードマークだ。
これまでオーストラリアを皮切りにヨーロッパ、カナダなどを訪問し、今年8月からNYに滞在中。NYの「バスキング」事情を尋ねてみると、「みんな優しいし、安全ですよ」と中村さん。「NYが安全」という発言に驚くと、「ホームレスはいっぱい居るんですけど、襲ってはこないですね。他の国では、殴られたり、チップを盗まれたこともあります。そういう意味でも、NYはバスキングしやすいです」。多くのショービジネスが集うニューヨーク。プロ・アマ問わずパフォーマーに対して敬意を払うのがニューヨーカーの良いところだろう。
「ダックマン」は現在、タイムズ・スクエアー駅構内をベースに10月27日(土)まで活動、その後はヨーロッパへ向かう予定だ。「目標は世界一周!」と、その夢は大きい。週末は駅構内のどこかでパフォーマンスしながら、「ハブ・ア・ナイス・デー!」と通行人に声を掛け、笑顔を届けている。

■10月27日(土)まで
 金〜日:4pm〜8pm
■場所:タイムズスクエア駅構内
■インスタグラム/ツイッター@tkentertainer


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