2020年10月16日号 Vol.384

トランプ大統領の「虚偽」を集めた語録集「嘘の壁」
行動うながすNYの野外アート3選



①落書きされる前の「嘘の壁」。日本に関連した発言も見える(10月5日撮影)All photos by KC of Yomitime

大統領選挙投票日まで1ヵ月となった10月3日(土)、ブルックリンのブッシュウィックに「嘘の壁(Wall of Lies)」=表紙写真と①=と題されたインスタレーションが登場した。トランプ大統領が任期中に発言した「虚偽または誤解を招く主張」を集めた語録集で、その数なんと2万件以上。ワシントン・ポスト紙によって事実確認された発言が、「選挙」「ウクライナ疑惑」「コロナウィルス」「移民」など、15のトピックに色分けされ、時系列に印刷されている。

手掛けたのは、ブルックリンのインターネット・ラジオ局「ラジオ・フリー・ブルックリン」のトム・テニーと、写真家のフィル・ビューラー。「この壁は大統領が建設することを望んでいた(メキシコ国境の)壁ではないが、彼は(壁の制作に)大きく貢献した」とコメントしている。

当初は3日と4日だけの展示予定だったが、複数のメディアが取り上げ、上院議員のチャック・シューマー氏も訪問するなど話題となったことから、投票日まで設置すると発表。

「嘘の壁」にトランプ支持者が落書き

ところが7日未明、何者かが壁に「トランプに投票しないやつは死んじまえ(Vote Trump or Die)」「少し下がって待機せよ(Stand Back and Stand By)=第1回大統領候補討論会で、トランプ大統領が極右グループのプラウド・ボーイズに向けて発言」と落書き=②=。テニーとビューラーは「いじめっ子に屈しない!」と、すぐさま新しい壁を印刷するためクラウド・ファンディングを開始。選挙投票日まで安全に設置できるスペースを探しながら、資金を調達中、さらに数ヵ所での展示を計画している。

※アップデート(10月15日):10月15日現在、クラウド・ファンディングで4410ドルの資金を調達。10月24日(土)、マンハッタンのダウンタウンに2番目の壁を設置することを計画している。場所および詳細は追って発表される。

Wall of Lies
■大統領選挙日まで(予定)
■場所:12 Grattan St., Bushwick
※展示場所は変更される場合あり
 最新情報はウェブサイトで
https://radiofreebrooklyn.com
クラウド・ファンディング:
RFB's 'Wall of Lies' Emergency Restoration Fund


②何者かによって落書きされた壁(Radio Free BrooklynのFBから)


リサイクル素材の犬
「ドギーバッグ」


ブロードウェイの38丁目から40丁目の間に、カラフルな6匹の犬「ドギー・バッグ(Doggy Bags)」=③=がお目見えした。

ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、ウィル・カーツの作品で、使い捨てのビニール袋やダクトテープなど、すべてリサイクル素材を使用。廃棄物がアートになるという「不条理」を示し、リサイクルの必要性を呼びかける。

Doggy Bags
■11月20日(金)まで
■場所:Garment District Plaza
 Broadway, Bet. 41st & 36th Sts.
http://garmentdistrict.nyc



③リサイクル素材で作られたカラフルな犬「ドギー・バッグ」All photos by KC of Yomitime


環境保全の残り時間「気候時計」
あと7年と少し


ユニオン・スクエアで1日(24時間)の残り時間をカウントダウンしていた巨大なデジタル時計「メトロノーム」が9月21日、「気候時計(ClimateClock)」に変更された。現在、世界が気候変動に対して行動を起こすために残された時間を示している(10月3日の取材時で、残り7年89日=④=)。

作者は、環境活動家のガン・ゴールデンとアンドリュー・ボイド。「これは私たちの『締め切り』だ」とし、「時計は人間の行動に反応する。私たちは今日、明日、そしてその翌日と、この時間内に行動する必要がある」と訴えている。

Climate Clock
■展示期間未定
■場所:60 E. 14th St.
https://climateclock.world


④残された環境保全の時間はあと7年(10月3日撮影)Photo by KC of Yomitime


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