2019年11月1日号 Vol.361

コロンビア大で草月流いけばな実演
いけばなとヘルスケア


デモンストレーションを行う勅使河原氏


関係者と記念撮影。勅使河原茜氏(右から3人目)、田村さん(右端)



ニューヨーク在住で草月流師範のロジャース田村波津枝(たむら・はずえ)さんは10月7日(月)、家元の勅使河原茜氏を招き、コロンビア大学のアービン・メディカル・センターで「草月:生け花の夕べ」を開催した。勅使河原氏は、「ロングウッド・ガーデン」で開催中の展示「ブルーム & バンブー」=関連記事=のために来米、その帰路でニューヨークに立ち寄った。

当日は、様々な演出を取り入れ、花をいけるパフォーマンス「いけばなライブ」を開催。
はじめは、燃えるような赤の花瓶に、紅く色付いた葉、今にも落ちそうに熟した実、鮮やかな緑がアクセントになった秋らしい作品を披露。2作目では、花器を土台に、大きな枝葉を次々と組み上げていく。赤と黄を織り交ぜ、こちらも秋らしさを演出。「最後は中央に色鮮やかな黄色を配し、全体を纏めます」と説明し、黄色い葉を加えて完成。場内からは大きな拍手が沸き起こった。
ライトに照らされ、絵画の如く浮かび上がるいけばな。黒い衣装に身を包んだ勅使河原氏とアシスタントは「黒子」であり、主役はあくまでも草木たち。自然の美しさだけでなく草木の声に耳を傾け、その言葉を引き出して見せる。「花をいける」ことは、空間に形体を構成する「造形芸術」だと言えるだろう。
「いけばなライブ」の後は懇親会が開催。川村国連大使夫妻や、在ニューヨーク日本国総領事館関係者、コロンビア大学病院関係者など、招待客はおよそ100人。レストラン波崎による寿司や料理を味わい、歓談を楽しんだ。

いけなばとヘルスケア

このイベントをアレンジした田村さんは、コロンビア大学病院の脳外科、脳神経内科のICUで看護師として長期に渡り働いていた。「元気になって退院される患者さんをみることが、看護の楽しさでした」と話す。以前から、気さくで素晴らしいドクターたちと、日系社会を繫ぎたいと考えていた。
そんな折り、家元・勅使河原氏の「ロングウッド・ガーデン」での展示企画があり、「一流の日本文化を一流の病院で紹介したい」と、奔走、開催に漕ぎ着けた。当日はこの日のために、日本から来米した2人のアシスタントの小黒洋さんと倉田康治さんに加え、田村さんの生徒数名がイベントをサポート。
「草月流は、『いつでも・誰でも・どこでも・どんな花材でも』がモットーです。同様に、コロンビア大学のドクターたちは、『いつでも・誰にでも・最高の治療』を提供しています。今回、家元のお力をお借りし、コロンビア大学病院のことを少しでも日系コミュニティーの皆様に知って頂ければと思いました」
自然に触れることでストレスが軽減されるといわれる昨今、部屋に花を飾るだけでも効果があるとも聞く。
「『いけばな』は、誰にでも気軽にできるストレス解消法だと思っています。心のサプリメントですよ」と、田村さんは笑った。

■NY草月流
 ロジャース田村波津枝(師範)
Tel:917-748-3177
tamurahazue@gmail.com
www.hazue.com


■コロンビア大学病院※他ロケーション有
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