2018年11月2日号 Vol.337

世界中で最もポピュラーなオペラ
新演出で衣替え
メトロポリタン・オペラ「椿姫」

椿姫
Andy Warhol (1928-1987), Green Coca-Cola Bottles, 1962. © 2017 The Andy Warhol Foundation for the visual Arts, Inc./ Artists Rights Society (ARS), N.Y.

椿姫
Andy Warhol (1928–1987), Empire, 1964. © 2018 The Andy Warhol Museum, Pittsburgh, PA, a museum of Carnegie Institute. All rights reserved.


今シーズン一押しの新演出!世界中で最もポピュラーなオペラ「椿姫」が、待望の衣替えとなり登場する。現代のリーディング演出家マイケル・メイヤーの演出でこの名作がどう料理されるか、まさに必見!
舞台美術はクリスティン・ジョーンズ、衣装はスーザン・ヒルファティ。18世紀を舞台に四季の移り変わりで物語が進行していく美しい舞台。
主演のディアナ・ダムラウは、1971年ドイツ生まれのコロラトゥーラ・ソプラノ。METには、欠かせない歌唱力と演技力を兼ね備えた実力派。実は映画版「椿姫」を見たのがきっかけでオペラ歌手を目指したのだそうだ。
映画は1985年のフランコ・ゼフィレッリ演出、ジェームズ・レヴァイン指揮METオーケストラ、主演がテレサ・ストラータス(当時、女優のように美しい!)とプラシド・ドミンゴ(こちらも俳優顔負けの容姿と演技力)という今世紀最強の顔ぶれ。しかも舞台でなくロケで映像も素晴らしい伝説の作品。ちなみにドミンゴは、2019年4月13日から父親ジェルモンの役で登場する。
さて、相手役のアルフレードには、テノールのプリンス、ファン・ディエゴ・フローレス。この役はMETで4シーズンぶりの挑戦。「椿姫」は、1853年ベニスのフェニーチェ劇場で初演されたが、この時、病弱なはずのヒロインがあまりにも太っていて、悲恋に似つかわしくないと大失敗に終わったが、翌年の再演から現在まで、世界中で愛されるようになり、ヴェルディの代表作としてゆるぎない地位を築いている。

▼あらすじ
1850年ごろ(今回の演出では18世紀に設定)、純情な青年アルフレードと知り合い、初めて真実の愛に目覚めた裏社交界の華ヴィオレッタ。
パリ郊外で彼と暮らし始めるが、アルフレードの父親ジェルモンに娘(アルフレードの妹)の結婚の妨げになるから身を引くように、と諭される。ヴィオレッタは死ぬ思いで泣く泣く承知するが、アルフレードはフラれたものと勘違いし、パーティーで彼女と一緒にいたパトロンと決闘する事になる。
数ヵ月後、一人ぼっちになったヴィオレッタは結核を患って、医者からも数時間の命と告げられ、ひたすらアルフレードとの再会を待ちわびている。そこへジェルモンが訪ねて来て過去を詫びる。続いてアルフレードが突然現れると、ヴィオレッタは生きる喜びが湧いて立ち上がり「嬉しい、生きられる!」と叫ぶが、息絶えてしまう。(針ケ谷郁)

LA TRAVIATA 新演出 イタリア語上演
■12月4日/7日/11日/15日(M)/18日/22日(M)/26日/29日
 2019年4月5日/10日/13日/17日/20日/24日/27日
■作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
■原作:デュマの小説「椿姫」
■演出:マイケル・メイヤー
■指揮:ヤニック・ネゼ=セガン/二コラ・ルイゾティ
■配役:ヴィオレッタ・ヴァレリー:ディアナ・ダムラウ/アニタ・ハーディンク
    アルフレード・ジェルモン:
     ファン・ディエゴ・フローレス/ステファン・コステロ
    ジョルジョ・ジェルモン:
     クイン・ケルシー/アルトゥール・ルチンスキ/プラシド・ドミンゴ
■チケット:212-362-6000
www.metoperafamily.org


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