2018年11月2日号 Vol.337

日本とトルコ、親善コンサート
百年前の恩を忘れていない
「世界平和への訴えコンサート」

世界平和への訴えコンサート


日本とトルコ共和国の親善コンサート「A Call For World Peace(平和への訴えコンサート)」が、11月29日(木)、カーネギーホールで開催される。入場無料。意外に知られない日本とトルコの国家間の友情を称え、共に平和を訴えていこうという趣旨のコンサートだ。
主催するのは、和歌山県の「インターナショナルグッドウイルわかやま」(向山精二代表=写真=)。和歌山県文化振興保護事業でもある。向山代表は、和歌山県海南市の中小企業経営者。仕事の傍ら、十数年前から作曲を始め、「紀伊の国交響組曲」など、小曲を約200曲作った。
ひょんなことから始めたのが、この平和を訴えるコンサート。すでに一昨年と昨年、トルコの大統領交響楽団と共にアンカラCSОホール、イタリア・ローマのエリセオ劇場で公演し、今年10月1日・2日には、トルコのムーラ市とボドルム市でも公演。今回はニューヨークでの初公演だ。
プログラムは、紀伊の国交響組曲第五楽章「友情」、「テヘラン脱出」、「エルトゥールル号の軌跡」。全部で60分ほどの組曲で、「日本とトルコが、過去に命を懸けてお互いを救出し合いました。その史実を基にした、映像付きのノンフィクション・シンフォニー公演です」と向山さん。
演奏はニュー・マンハッタン・シンフォニエッタ。指揮は向山代表が務める。ソプラノソロはナズリ・アルプテキン、ホストはハリット・ミズラクリ、コーラスはザ・デスオフ・コーラス。特別ゲストに、サークル・ウインド・ボーイズ&ガールズ・クワイアを招く。

日本とトルコの相互救出劇とは?

同コンサートの背景には、日本とトルコの助け合いという歴史がある。
1887年9月16日、トルコの軍艦エルトゥールル号が、答礼のため日本に表敬航海をした帰り、台風に遭遇。和歌山県串本沖で遭難沈没。漆黒の闇と嵐の中、串本樫野崎の島民は必至に乗組員の救出に当たった。
そのエルトゥールル号事件から約100年後の1985年3月、イラン・イラク戦争が勃発。外国人はその直前に自国派遣の航空機で次々と脱出。しかし、日本は救出機を出せず215人の日本人が取り残されてしまう。窮地に立たされた日本人を救出するため、戦火の空港に飛来したのがトルコの航空機だった。航空機を派遣したトルコの大使は、「トルコは百年前の恩を忘れていない」と語ったという。

エルトゥールル号の遺品展示も

トルコの考古学者が和歌山県串本の海に潜水し、沈没したエルトゥールル号の遺品8130点を引き上げた。その一部が、カーネギーホール近くの日本ギャラリー(日本クラブ)で展示される。詳細は別記。

世界平和への訴えコンサート
■11月29日(木)8:00pm
■会場:Carnegie Hall
 (Stern Auditorium / Perelman Stage)
 881 Seventh Ave.
 @ 57th St.
■入場無料・要チケット予約
 ※予約は下記ウェブサイトから
www.nmsinfonietta.org

エルトゥールル号の遺品展示
■11月27日(火)〜29日(木)
■会場:日本ギャラリー
 145 W. 57th St. 7th Fl.
■入場無料
www.nipponclub.org


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