2020年11月13日号 Vol.386

アジア系にフォーカスした映画祭
アメリカ・カナダで配信
フィラデルフィア・アジアン・アメリカン映画祭

アジア系の映画や制作者にフォーカスした映画祭「フィラデルフィア・アジアン・アメリカン映画祭(PAAFF)が、11月5日(木)から始まり15日(日)まで行われている。

13回目を迎えた今年は、コロナ禍の影響により、オンラインで開催。80を超える映画に加え、音楽、パフォーマンス、パネルディスカッションなども企画。配信は、アメリカ国内とカナダ(作品により配信地域に制限あり)だが、すべての短編作品と「Djembe in the 13 Streets」は、全世界で観賞できる。日本関連作品は9本。ここでは、そのいくつかを紹介。


① axandax, 2019. Directed by Keita Niwa (All photos courtesy of PAAFF)

九州産業大学芸術学部で助手として勤務しながら制作を続ける若手監督、二羽恵太(にわ・けいた)の「アクサンダックス(axandax)」(44分)=写真①=。
学歴、資格、業績など、さまざまな要素を用いて個人の「価値」を数値化し、他者との優劣が可視化された世界が舞台。山奥で生活するジンのもとに、出張カウンセラーのナオミがやってくる。「高い価値」を示すナオミに、最初は心を閉ざすジンだったが…。
14日午後9時からライブストリームで質疑応答あり。



② Woman of the Photographs, 2020. Directed by Takeshi Kushida

串田壮史(くしだ・たけし)監督の「写真の女( Woman of the Photographs)」(89分)=写真②=。
中年の写真家でレタッチ・アーティストの械(かい)は、体に大きな傷跡を残したモデル、キョウコに出会う。彼女から頼まれた械はレタッチ技術で傷を消し、完璧な姿を生み出す。ところがファンの間で、傷がある「本当の姿」が評価され、混乱するキョウコ。彼女を救えるのは自分だけだと感じた械は、キョウコを撮り続ける。
13日午後10時からライブストリームで質疑応答あり。



③ In the Shadow of the Pines, 2020. Directed by Anne Koizumi

日系カナダ人のアン・コイズミ監督の「イン・ザ・シャドウ・オブ・ザ・パイン(In the Shadow of the Pines)」=写真③=は、8分の短編アニメーション。
カナダに移民したアン監督の父は、彼女が通う学校で、用務員として働いていた。そんな父を「恥だ」と思い、友達に知られるのがイヤだったアン監督。若い頃、誰もが感じる「親の疎ましさ」を軸に、親を失った喪失感や罪悪感を鑑賞者に思い起こさせる。胸にチクリと刺さる秀作。


Philadelphia Asian American Film Festival
■11月15日(日)まで
■オンライン上映 ※作品により配信地域制限あり
※一部作品を除き15日11:59pm(東部時間)まで視聴可
■料金:オープニング&クロージング$10+
長編$10、短編$3、長編パス$70〜、短編パス$35
https://paaff.org



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