2020年12月18日号 Vol.388

合言葉「まだまだ油断大敵!」
待望のワクチン基礎知識
〜すくすく会の金原先生に聞く〜(2/3)

金原:ファイザーとモデルナのワクチンは、1回目を打ってから3、4週間後にもう一度接種します。

予防効果は、モデルナが94・5%、ファイザーが95%との報告です(表)。ただ、開発期間も短く、この効果は接種後約2ヵ月間のものなので、それ以上の持続期間は分かっていません。今後の研究課題です。



▼副作用は?
金原:報告されているもので、発熱、頭痛、筋肉痛、悪寒、倦怠感、関節痛など。ほとんどは軽中度です。

イギリスでは12月から一部の人にワクチン投与を始めましたが、過去にひどいアレルギーのある2人に新型コロナワクチンによるアレルギー反応がありました。食物アレルギーなどは大丈夫ですが、過去に他のワクチンにアレルギーがあった人は要注意です。また、1回目の接種でひどいアレルギー反応があった人は、2回目は接種しないようにと、CDCは推奨しています。

▼子どもや妊婦への接種は安全ですか?
金原:子どもや妊婦への安全確認は今後の課題で、今すでにファイザーが12歳以上を対象にした臨床試験を行っています。今回のファイザー・ワクチンは、16歳以上が対象です。一般の妊婦・授乳婦はまだ接種の対象外ですが、妊婦・授乳婦でも医療従事者の場合は、ワクチンを接種してよいと言われています。データはあまりないのですが、生ワクチンではないことと、妊婦がコロナにかかると重症リスクが高いので、ワクチン接種が推奨されたようです。幼稚園・小学校の子どもが接種できるようになるまでには、もう少し時間がかかりそうです。

▼ニューヨーク州のワクチン接種優先順位は?
金原:ニューヨーク州にはまず17万人分が届いています。優先順位は、①医療従事者、高齢者施設、②エッセンシャルワーカー、ハイリスクの持病がある人、③65歳以上、65歳以下でもハイリスクの人――となっており、最後に一般の健康な人という順番です。これらに加えて、感染率が高い地域を優先するなど、地域要素も考慮されるはずです。
ハイリスクの持病は心臓疾患、肺疾患、糖尿病、がん、臓器移植による免疫疾患、重度の肥満などです。

一般の健康な人にワクチンが行き届くのがいつ頃になるかは、はっきりしたことは分かりませんが、春から夏になるとも言われています。


12月14日(月)、NY州最初のCOVID-19ワクチンを接種したサンドラ・リンゼイさん(クイーンズ区ノースウェル・ヘルス勤務の正看護師)。クオモ知事の記者会見で、接種の様子が生放送された。(Photo by Scott Heins / Office of Governor Andrew M. Cuomo)

▼どこで接種できますか?
金原:最初のワクチンは、特定の病院やクリニックで行われると予測されます。ワクチンの生産量が増え一般に行き渡るようになれば、一般外来、緊急外来(Urgent care)、またはCVSなど診療所のある薬局で受けることができるようになるはずです。また、1回目の接種を受けた人には、2回目の接種時期が明記された「ワクチン接種カード」が渡されるそうです。接種証明にもなるので、保管しておくと良いでしょう。

▼ワクチンは接種すべきでしょうか? 費用は?
金原:何万人もの臨床試験のデータが、一般的に新型コロナウイルスのワクチンは効果的で、安全であることを示しています。不安を持つ人も多いと思いますが、新型コロナウイルスは危険な感染病で、すでに多くの人が亡くなっています。コロナ感染して重症化することに比べたら、ワクチンはとても安全です。副作用はない人の方が圧倒的に多く、あるとしたら発熱や頭痛などで、それも一時的。

集団免疫を作り、コロナ禍を収束するには多くの人が接種しないと意味がありません。世界的な感染を減らすためにも、多くの人が社会復帰するためにもワクチンは必須です。公衆衛生の観点からも、なるべく多くの人に受けてほしいと思います。特に、感染後に重症化リスクが高い人(高齢者など)、そうした人との交流がある人は受けてほしいです。

私も医療従事者として、可能な限り早急に接種するつもりです。私が勤務するブロンクスのクリニックも、CDCに対して接種を最優先してもらえるよう申請しているところです。

費用ですが、アメリカでは医療保険の有無に関係なく、新型コロナワクチンは無料で提供されます。また、違法滞在している場合も、ワクチン接種により移民ステータスが移民局に報告されることはありません。ニューヨーク州がCDCに対し、移民ステータスとワクチン接種とは切り離すよう働きかけていたもので、12月9日、CDCが合意しました。(次ページへ)

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