日本人だから、女性だから、英語はネイティブではないからノそんないい訳が一切通用しない世界で訴訟専門弁護士として活躍する山本容子さん。厳格な職場でバリバリ働く女性のイメージとはかけ離れ、気さくで明るく、インタビュー中も終始笑みを絶やすことはなかった。できる人に性別は関係ないと改めて感じた。(大矢晃司)
---弁護士になろうとしたきっかけは?
映画やドラマの中で弁護士が法廷で闘うシーンを見て、かっこいいなと憧れたのが最初ですかね。
---その夢をずっとあきらめず持ち続けて、今日に至ったわけですか?
いえ、大学も法学部に進学したんですが、司法試験のゼミを見学した時にあまりにも雰囲気が暗くて(笑)「あー、これは自分には無理だ」と、一度はあきらめんたんです。
---それがどうして再び弁護士の道に?
弁護士をあきらめても、大学の授業はありますよね。で、もう司法試験のことは考えなくていいから、気軽な気分で英米国際法のクラスを選んだんです。その時の恩師が「狭い日本でグズグズしていないで外の世界にふれてみろ」と、留学を薦めてくれました。
---それでアメリカに?
はい。でも、その頃は英語がまるで出来なかったので、英語を勉強するならニューヨークとかの大都市ではなく、日本人の少ない田舎にしろと言われ、オレゴンの大学に進みました。
ムムわずか一年で卒業したとか?
本当に田舎で勉強以外にやることがなかったんです(笑)。それに、差別という程ではないんですが、そうした田舎の大学だと、たとえ外国人でも英語が喋れないと頭の弱い子のように扱われるんです。しかも、私は日本の大学を卒業しているから周りはほとんどが年下なわけですよ。それがもう悔しくて悔しくて、それで必死になって勉強しました。
---具体的にどんな勉強方法を?
私は女優のメグ・ライアンのファンで、彼女のように喋りたいなあと映画を観ながらマネしてました。『恋人たちの予感』なんて100回以上観ましたね。
---英語を猛勉強したといっても山本さんは日本人で、アメリカ生まれの、アメリカ育ちといったネイティブというわけではないじゃないですか。法廷では早口の人もいれば、専門用語や訛りとかスラングもあるでしょうし、100%相手の言っていることを理解できるものなんですか?
まあ、仕事ですからねえ(笑)。裁判や法廷で言葉は「命」と言いますか生命線みたいなものですからね。もちろん、すべての言葉、単語を知っているわけではないですし、友人や同僚と話していて、あっ、そんなスラングがあるのか、とか、そういう言い方もあるのか、とか、日々、新しい発見ですね。
---弁護士をしていて一番の喜びは?
それは、やはり裁判で勝った時ですね。その瞬間は跳び上がりたいほど嬉しい。
私は弁護士の仕事はクライアントの権利、利益を守ることだと考えています。依頼主から頼まれ、その信頼に応えられた時の喜びは何物にも代え難いものがあります。反対に負けた時はメチャクチャ悔しいですけどね。あとは、年齢も経験も上の人達に囲まれて、最初は「フン、アジアの小娘に何ができる」みたいな感じで見下されても、仕事さえできれば、年齢や性別に関係なく、素直に認めるところにアメリカという国の懐の広さを感じますね。あっ、もう娘ではないですけど(笑)。
---休みの日とかどう過しているんですか?
ゴルフを始めたんですけど、まだ全然下手です。それより、過去の判例を調べたり、どうしたら有利な判決になるか戦略を練ったりするのが楽しくて仕方ないです。仕事が趣味と言うと、自分でもそれってどうなのかな〜と思いますが、そういった意味では、この仕事に向いているのかもしれないですね。それに、負けず嫌いですし(笑)。
Yoko Yamamoto, Esq.
Clausen Miller, P.C.
One Chase Manhattan Plaza, 39th Fl.
New York, NY 10005
Direct: (212) 805-3964
Main: (212) 805-3900
Fax: (212) 805-3939
yyamamoto@clausen.com
www.clausen.com
|