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よみタイムVol.185 2012年7月6日号掲載

高さ40センチの草間人形と吉本さん
スタジオUG代表
吉本祐司 さん
ヴィトンと草間がコラボ
ディスプレイ・フィギュアを制作

毛穴やシミまで再現された等身大のフィギュアは、まさに「レプリカント」のようだ

「草間彌生」のフィギュアを囲む制作スタッフたち
後列(左から)永田淳二さん、吉本裕司さん
前列(左から)森茉実子さん、YOSHIさん

 「前衛の女王」と呼ばれる芸術家、草間彌生と、高級ブランドのルイ・ヴィトンがコラボ。草間シグネチャー・パターンとも言えるドットをあしらった商品が、7月10日から店頭に並ぶ。
 ヴィトンの店舗ディスプレイには草間彌生のフィギュアが使用され、その制作を担当したのが吉本祐司さん率いる「スタジオUG」だ。

 ブルックリンに工房を構えるプロップ(小道具)製作会社「スタジオUG」。
 中に入ると、真っ赤に染色した髪の等身大の草間人形が目に飛び込んで来た。見る者の視界を覆い尽くさんばかりの水玉を多用するのが草間の特徴の一つだが、この人形も赤地に白い水玉のドレスを身に纏っている。今にも動きそうなほどリアルだ。
 「今回のディスプレイ制作は、ルイ・ヴィトン・フランスから話しがありました。依頼を受けて昨年12月、東京の草間スタジオに伺い、本人の顔や手の型を取って来ました。それからずっと制作に追われています。等身大を13体、高さ40センチの人形を464体、作りましたよ」と笑う吉本さん。
 等身大のフィギュアは毛穴やシミ、血管などの細部まで丁寧に表現され、まさに「職人技」と言ったところだ。
 「草間さんは小柄で物静かな方でした。しかし彼女の作品は、空間を埋め尽くす水玉が、視覚に激しく訴えかけてくる。ご本人からも溢れ出す何かを、強烈に感じました」

 吉本さんは1982年に武蔵野美術大学彫刻科を卒業。広告やTVコマーシャルなどに使われるプロップを制作する商業美術の会社に就職した。平行して自身のアート活動も続けていたが、同時にアメリカ映画のスペシャルエフェクトの仕事に携わりたいと考えていたという。
 そんな時、観た1本の映画で、アメリカ行きを強く望むようになる。
 「映画『ブレード・ランナー』には、大きな衝撃を与えられました。当時、急速にグローバル化が進む中、多様な民族が混在する近未来都市を、あれほど衝撃的に視覚映像化していることに鳥肌が立つ思いでした。特に、ビルの特大電光ビルボードに映し出される芸者は圧巻でした」
 念願の来米は、商業美術会社から独立してから3年後、1989年のことだった。
 「アメリカに到着後、就職した会社が、ユニバーサル・スタジオの『バック・トゥー・ザ・フューチャー・ライド』を制作していて、私もそれに参加しました。さらに実はこのプロジェクト、偶然にも『ブレード・ランナー』のスペシャルエフェクト監督、ダグラス・トランブル氏がプロデュースしていたのです。私にとって、とてもラッキーな出来事でした」
 一本の映画を介しての、運命的で不思議な繋がりだった。

 1995年に「スタジオUG」を設立、以降さまざまな仕事を手がけて来た。
 これまでの顧客にはコカコーラ、ランコム、AT&Tなどビッグネームがずらりと並ぶ。
 中でも代表作は、ロックバンド「トーキング・ヘッズ」のボーカル「デヴィッド・バーン」の フィギュア。レコードジャケット用に制作したもので、1997年のコミュニケーション・アーツで「オーディオ&ビジュアル・パッキング・アワード」を受賞している。また資生堂のディスプレイでは、2003年に「DDAアワード・フォー・デザイン・アチーブメント」の「ディスプレイ・デザイン奨励賞」を獲得している。

 「現在はデジタルでの制作を勉強中です。これまでずっとアナログでやって来ましたが、デジタルを駆使した制作にも力を入れて行きたい」
 吉本さんのチャレンジは、果てしなく続く。
(ケーシー谷口)

Studio UG
www.studioug.com