「ドリフなどの洗礼受けました」
上方の落語を世界に広めようと活動を続けている桂小春團治の公演が、8月3日から3日間市内59丁目のフローレンス・グールド・ホールで行われる。公演は全て独自の英語の字幕付きとなっており「ひとりでも多くのアメリカ人に来て欲しい」と小春團治師匠は話している。
「文化庁文化交流使」の肩書きを持つ小春團治はこれまで「大学で日本文化を勉強する学生を相手に、落語の歴史を紹介したり、一席披露する」活動を続けてきた。イギリスやフランス、韓国など各国で、「自分で開発した」という字幕による公演を成功させてきた。
「笑いは『間』にあるので字幕のタイミングが難しいですよね。動詞が後ろにあるかどうかで変わってきますから」。
今回披露するのは「お玉牛」という師匠・春團治の得意ネタ。村で一番の器量好しと評判のお玉のところへ、茂兵衛と言う男が夜這いをかけると聞いた親が、お玉の部屋に牛を寝かせておくという話。もうひとつは怪談もので「皿屋敷(さらやしき)」。
小春團治は1958年大阪市の難波で生まれる。「小学生のころから人を笑わせるのが好きでした」という。中学生のころは落語の本を読破、「人物を使い分けて読んでいた」。さらに漫才、コントなどオリジナルの脚本を書いていた。大阪市立高校卒業後、立命館大学に入り落語研究会に所属。そのころから「お笑いの世界へ」と考えていた。世間では萩本欽一、坂上二郎の「コント55」やドリフターズが大人気だった。「十分洗礼を受けました」。
知人の紹介で三代目、桂春團治に出会い、77年入門。その後、ABC漫才落語新人コンクール新人賞受賞、97年文化庁芸術祭新人賞受賞、99年 桂小春團治を襲名した。
00年には世界最大の芸術祭エジンバラ・フェスティバル(英国)に 落語家として初めて参加、独自の字幕方式での海外公演を始め話題となった。これまでポニー・キャニオンから日本初の英語落語「JAPAN
AS NO.1」(カセット)を出版、さらに漢文落語「失恋飯店」、バックバンドを従えたミュージカル落語「東の旅」、コンピューターとビデオプロジェクターを駆使したヴィジュアル落語「漢字悪い人々」など革新的な新作落語を発表し続け、独自の字幕方式でイギリス・フランス・ドイツ・ロシア・トルコなど世界で公演、上方落語の可能性に挑戦し続けている。
今年2月にはハーバード大、コロンビア大学ドナルド・キーン日本文化センターなどで落語公演を行った。(吉)
8月3日(金)、4日(土)、5日(日)(3回公演)
フローレンス・グールド・ホール(Florence Gould Hall)
55 E.59th St (Bet. Madison & Park)
212-355-6160、646-369-4068(日本語)
演目:「お玉牛」「皿屋敷」(英語字幕)
鳴り物:桂福矢(笛)、笑福亭喬若(太鼓)、
桂ひろば(太鼓・鉦・銅鑼)、花登益子(三味線)
料金:$40(Box Office、チケットマスター)
主催:NPO法人国際落語振興会
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