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よみタイムVol.92 2008年7月4日号掲載

「バイオ・エネルギー生産への取り組みが急務です」と今村副大臣=農林水産省副大臣室で
農林水産省副大臣  今村 雅弘

自分自身で「環境」考える時代
「国民性」が日本の強み


副大臣室で本紙「よみタイム」を手にニッコリ

 主要国首脳会議の北海道洞爺湖サミットが7月7日から開催されるが、大きなテーマは地球温暖化の環境問題。そんな中、今村雅弘・農林水産副大臣に話を聞いた。(吉澤信政記者)



環境問題に関して日本がイニシアチブをとっていかなければいけないと思いますが、農林水産省の立場としてはどういうようなテーマをお持ちですか。

今村 農水省の考え方という以前に、日本人は昔から環境問題に自然に取り組んできたところがあると思うんです。「勿体ない」という感覚ですね。色々なものを無駄にしないで使ってきたし、リサイクルもしてきた。庭なんかもきちんと手入れをしてきましたしね。そういう国民性が我国の強みだと思いますね。
 農水省としては、二つの観点を持っています。一つは、異常気象に関連した食糧問題。
 世界的に食糧供給が不安定になってきています。食料の安定供給という観点からも環境問題にしっかり取り組まなければなりません。
 具体的には、例えばギニアの問題ですね。ここはCO2を森でもって吸収するという枠組みでやっていく。
 二つ目は、新しいエネルギー源への取り組みです。カーボン・ニュートラルといって、バイオ系でエネルギーを作っていこうではないか、ということです。木質の物を燃やすと、それが空気中に出て、CO2を補足する。CO2が循環するわけですね。だから化石燃料に頼らず、バイオ燃料の開発を進めることが、CO2排出削減対策につながると考えられています。
 日本は、環境分野では世界に先行していて、非常に進んでいます。技術力もあるし、そのことがある意味では新しい産業の牽引になっているんです。エネルギー効率を上げる技術に加え、リサイクル技術も進んでいます。バイオ・エネルギーと言いましたが、これも食糧から作るのではなくて、セルロース(植物細胞の細胞壁および繊維の主成分で、地球上で最も多く存在する炭水化物。繊維素とも呼ばれる)系から作る技術も非常に進んでいるんです。食糧を原料とするバイオ・エネルギー生産は、ご存知のように世界各地で食糧不足、食糧の値段の高騰を引き起こしていますので、この取り組みは今や急務と言えるのです。

今回は、各国とかなり突っ込んだ論議があると思いますが、日本として一番主張したいものは何ですか?

今村 まず、みんな仲間に入ってくれということです。そうしないと、片方で守ってるのに、片方では守らない、という現象が起きて、結局地球全体で見ると駄目じゃないか、ということになりかねません。各国にしっかりリーグになっていただくことが一番大事なことです。

日本人の個人レベルでの考え方はどうですか。国民の環境問題への認識度は? 家庭内での努力とか。

今村 日本国民ひとり一人の意識は大変上がって来ています。特に最近は、実感的に異常気象ということが言われるようになったし、ガソリンのように家庭経済を直撃する形で油が非常に高くなっている。自分の身の回りに起こる現実問題を通して意識はとても敏感になってきています。無駄遣いは出来ないし、自分自身で考える時代になってきているということでしょうね。

ヘルシー日本食もっと世界に

ニューヨークに住んでいて思うのは、アメリカ人は日本人ほど環境問題について考えていないのではという気がします。それを、日本がリーダーシップをとって訴えていく、ということなんでしょうね。

今村 そこなんです。日本人が本来持っている「きちっとした性格」を、もう一度目覚めさせるということですね。自動車だって、日本の車は燃費の良い、いいものを作っているんですから。

今後、環境問題も含めて、特に中国との問題は一番大きいと思います。特に食糧の問題は、どうしても中国からの輸入に頼らざるを得ないものがたくさんあります。

今村 食糧に対する安全保証というのが、みんなが実感するところじゃないでしょうか。前から言われていたことですが、最近特に不作とか、米が入ってこないとか、そういうことが現実に起きています。量の面もですが、質の面でも中国餃子事件みたいなのが起こると、やはり目の前で作ってくれる方が安心できるということですね。

中国からの輸入は、金額的にも莫大な数字になっています。一度揺らいだ日本国民の信頼をどう回復させられるか。

今村 潔癖性とも言うべき日本人に買ってもらうには、そこをきちんとしないといけないことは分かっています。中国人でも富裕層というのは、食の安全に非常に関心を持っています。今までは中国の農産物が日本に入ってきたけれど、今度は逆に品質の高いものを日本から中国の富裕層を対象に輸出することだって考えられます。まだ正式なルートが出来ていないので、昨日も密輸事件が起きている。要するにニーズは非常に高いんです。

中国の人口は、日本の10倍ですから、富裕層がたとえ一握りといっても、相当な人口になりますよね。マーケットは大きいですね。

今村 それと、日本人がなぜ長寿なのか。これには食の関係もあると思います。ヘルシーな日本の食事をもっと世界に広めたい。日本の食材が一番いいということで、米などを海外にもっと輸出していいのではないか。
 日本という国は、ギリシャ、ローマ、中国、ベトナム、インドと、西から来た人がたどり着いた地です。陸のシルクロード、海のシルクロード、それから黒潮に乗って。それらが集まってきたのが日本列島。いろんな文化のルーツが日本にある。食べ物も同じです。日本で熟成して日本食となっているので、外国の人が食べて「自分のふるさとの味」と感じることがあるかもしれないです。