2019年1月11日号 Vol.341

JCATNY

アートは生活の一部

ART


あけましておめでとうございます!今年も宜しくお願い致します。

2019年度初のエッセイをどうしようかと考えていたのですが、新しい年のスタートですので、わたしが元日に生み出した作品「God is in the details(神は細部に宿る)」=写真=について紹介させていただきます。

普段、わたしはArt Directorをしていますが、何の前触れもなく、「世界中にこの想いを伝えなければ!」という概念が湧き起こる時があります。今回、このコラージュ作品を制作したことにも理由があります。技術革新が進む現代では、多くのものがデジタル化され、バーチャル化しています。以前から、ニューヨーク・タイムズのような紙媒体はいつか無くなってしまうかもしれない…という切ない思いがありました。失った後に、ようやくその素晴らしい価値に気付くことが多い。そんな時、バーチャルではない「手に取ることができる作品」は、自分の意図とは関係なく大きな存在感を残すことになるのではないでしょうか。

少しアブストラクトなこの作品は、3つのレイヤーで構成されています。まず、一番下はアメリカの国旗。その上(2つ目)は2018年12月31日のニューヨーク・タイムズ。これは終日雨だった大晦日に1時間ほどニューススタンドを探しまわり、リンカーンセンターの近くでようやく発見した、文字通り「ラストワン」のニュースペーパーでした。一番上(3つ目)は2019年1月1日のニューヨーク・タイムズで、コロンバスサークルのニューススタンドで購入しました。

レイヤーにこだわったのは、平家物語などに見られる十二単のように日本文化の美を表現するためです。土台となっているアメリカ国旗や、2つ目の去年の記事は目に映りにくいですが、グラデーションが織りなす色合いの美しさ、そしてニューヨークの街のように「古いものは淘汰され、新しいものが上から重なりあう」という部分を表現しました。作品タイトル「God is in the details」は、近代建築の巨匠、ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエが好んで使っていた言葉で、「表面上、目立たない部分だとしても、細かなディテールを疎かにしては全体の美しさを構築することができない」ということから、「重ねることへの美学・目に見えない部分へのこだわり」を、わたしなりに表現しています。

昨年末、ふと目に止まったニューススタンドが、わたしをアート制作に駆り立てました。まさに「アートは生活の一部である」という新年のはじまりです!

いたみありさ(JCATファウンダー/キューレーター)

JCAT は総勢160 名以上の日本人現代アーティストチームです。詳細はウェブサイトをご覧ください。
www.jcatny.com



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