2019年9月6日号 Vol.356

JCATNY

失敗を恐れないインプロビゼーション

ART
チャーリー・パーカー・ジャズ・フェスティバルで座って演奏するジョージ・コールマン


夏の終わりも近づき、夕方になると涼しく過ごせるニューヨークですが、いかがお過ごしでしょうか? 今回は、芸術の中でも音楽、「JAZZ」のお話をしたいと思います。

8月中旬、トンプキンス・スクエア・パークで行われた「チャーリー・パーカー・ジャズ・フェスティバル」に足を運びました。毎年8月に行われる同フェスティバルは今年で27周年目。チャーリー・パーカーの作品を祝し、その偉業を讃えようと、多くのミュージシャンやファンで賑わいます。

愛称「バード」で知られるサックス奏者のチャーリー・パーカーは、ビーバップ(モダンジャズ)の先駆者で、ジャズ界に大きな革命をもたらしました。彼ほど大きな影響力を持った人物を、私は他に知りません。

フェスティバルでは、チャーリー・パーカーと同世代だけでなく、若い芸術家たちが、「JAZZ」という名のアートを作り続けていました。私が訪れた日には、現在84歳のジョージ・コールマンが演奏していました。さすがは、60年代にマイルス・デイヴィスやハービー・ハンコックと共演していただけあり、「レジェンド」と呼ぶに相応しいサウンド。興味深かったのは、「間違いを犯しても構わない」という大胆なコールマンのインプロビゼーション(即興)に対し、若手ミュージシャンの演奏は、特に面白みもなく、冒険を感じることが無かったという点です。そんな状況を目にした時、「新しいことを始めるには勇気が必要なんだな」ということを改めて思い出しました。誰かのマネをするのは安全で確実ですが、そこに新鮮さはなく、新しい驚きもありません。アートも同様、自分が生み出す感性を、どう自分らしく表現するか…そこが鍵なのです。コールマンのような失敗を恐れないインプロビゼーション、失敗すら「味」に変えてしまう力こそが、アートの本質なのかもしれません。


いたみありさ(JCATファウンダー/キューレーター)

JCAT は総勢200名以上の日本人現代アーティストチームです。詳細はウェブサイトをご覧ください。
www.jcatny.com



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