アマゾン(オンライン小売業他)、JPモルガン・チェイス(金融)、バークシャー・ハサウエー(持株会社)の米大手3社が1月末、米国内の社員向けに独自の医療保険サービスを開始すると発表。詳細は不明だが、それでも米保険業界へのインパクトは絶大で、瞬時に保険会社各社の株価が下降を見せた。
発表記者会見でバークシャー・ハサウエーのCEOウォレン・バフェットは今のアメリカの医療保険を、「hungry tapeworm on the American economy(アメリカ経済を蝕む回虫)」と批判。
この3社がそれに対する解答を持っているわけではないが、それに泣き寝入りするつもりもないとしている。3社の莫大な資産で、社員とその家族のための独自のヘルスケア組織を作り、営利目的でない医療の提供を目指すという。
うーん、羨ましい。記者会見では、「最終目的は3社の社員だけにとどまらず、アメリカ国民全員を対象にした解決策を模索する」と大風呂敷を広げている。つい期待してしまうのは浅はかだろうか。何しろトランプはオバマケアを潰すとほざき続け、代替案はあるのかといえば、ない。この際大手に大手たる社会的役割を果たしてもらい、医療システムに風穴を開けてもらおうじゃないですか。
ちなみに、米連邦機関センターズ・フォー・メディケア&メディケイド・サービシズによると、全米の医療支出総額は2016年で3兆3000億ドル(前年比4・3%増)で、物価上昇率2・1%の倍以上。医療支出は2017年米経済全体の18%を占め、医療費はこれから2025年まで年平均5・6%増加すると見込まれている。