2019年6月28日号 Vol.352

地下鉄アート

駅 Second Avenue–96th Street (Manhattan)

サラ・ズィー「風景のための青写真」
SARAH SZE: Blueprint for a Landscape, 2017


All photos by YOMITIME


マサチューセッツ州ボストン生まれ(1969年)、コンテンポラリー・アーティストのサラ・ズィーは、ニューヨークのコロンビア大学でビジュアルアートの教授も務める。ズィーは、日常生活の中にある身近なモノにフォーカスし、インスタレーションや彫刻に反映。我々が気にも止めない事務用品や「残骸」に新たな意義を見出し、アートへと変化させる。2003年、アメリカで「人並み外れた独創性、創造性探究への献身、顕著な自己実現能力」を発揮する20~30人へ贈られる奨学金「マッカーサー・フェロー・プログラム」を受賞。2013年のヴェネツィア・ビエンナーレでは、アメリカ代表として参加。ズィーは、「彫刻は公園や公共の場所にあり、街灯や消火栓と同じようなもの。環境に調和し、その場所に織り込まれているようなパブリックアートに興味がある」という。

「風景のための青写真」は、1万4000スクエアフィートの壁面を、4300を超えるタイルで埋めたインスタレーション。青の(または白の)地色に、紙、鳥、樹木、葉、建造物の骨組みのようなイメージが白で(または青で)描かれ、駅構内全体に展開されている。流れるようなパターンは、物事がどのように動くかを探ると同時に、地下鉄の通過時に起きる風が構内を吹き抜けるようにデザイン。「地下鉄は私達が知る最も民主的な場所。この作品では交通のダイナミズムと平等主義を祝した」とズィー。日常的な空間で、ふと目に止まるアートにより、異なる環境や新しい未来への青写真を描いてもらおうと試みた作品。


HOME