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Vol.207:2013年6月7日号
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 よみタイムについて
河野洋: 名古屋市生まれ。12歳でロックに目覚め、ギター、バンド活動を始める。89年米国横断、欧州縦断のひとり旅の後、92年NYに移住。03年ソロアルバムのリリースと同時にレコード会社、Mar Creation, Inc.を設立。現在は会社では、アーティストマネジメント、PR、音楽、映像制作などエンターテイメントに関連するサービスを提供するかたわら、「NY Japan CineFest」「j-Summit New York」などのイベントをプロデュース。その他にも、エイズ、3.11震災後の日本復興に関わるチャリティイベントや、平和、社会、環境問題などをテーマにしたプロジェクトにも積極的に取組んでいる。
ウェブサイト : www.marcreation.com / メール: contact@marcreation.com
「オンガク喫茶」のこぼれ話はブログ「ゼロからのレコードレーベル」

よみタイムVol.207 2013年6月7日発行号

映像・ダンス・即興音楽の融合
ヴィジョン・フェスティバル



 映像、ダンス、アヴァン・ジャズ(即興、実験音楽)を融合したヴィジョン・フェスティバル(以下、VFと略)は1996年にニューヨークで産声を上げた。アーティストによる、アーティストたちの為の音楽芸術フェスティバルだ。
 創始者のパトリーシャ・ニコルソン・パーカーは、今年で18回目を迎えるフェスを、我が子のように育んできた。
 「即興音楽は欧州に渡り発展を続けましたが、VFがスタートした90年代、アメリカでは注目されないジャンルでした。インターネットが未だ普及していない時代に、ありとあらゆる批評家にプレスリリースを2年もの間、毎週郵送しましたが、一度もレビューを書いてもらえなかった」とパトリーシャは当時を振り返る。しかし、不毛の土地にも雨は降り太陽も照る。
 先見の明を備えた彼女は、VFと言う舞台に芽を蒔き続けることで、米国にもアヴァン・ジャズのコミュニティを築き始めた。
 「最初の頃は受けが悪かった即興音楽とダンスという組み合わせも、フェスで見せ続けていたら、好きだって言う観客が増えてきたのよ」と少しずつ良い変化が見られるようになった。
 一般の人が見ないものを見つけるのがアーティストであり、プロデューサーだ。暗闇にスポットライトを当て、新しい道を切り開く。つまり即興音楽を通して、人々の視野(ヴィジョン)を広げてくれるのがヴィジョン・フェスティバルなのだ。

 今回のお薦め出演アーティストを尋ねると「全部よ。アーティストも音楽も素晴らしい。でも、やっぱり会場に来て体験してみないと良さがわからないと思う」と答えるパトリーシャ。
 実際にどんな演奏になるのか100%予想できないのが「即興」の醍醐味の一つ。演奏中はステージに映像が投影され、ダンス、詩の朗読など、音楽以外のエッセンスもあるので、エクスペリメンタル、即興、アヴァンギャルドというキーワードに馴染みのない人たちにも入りやすいだろう。

 12日(水)は、ドラムやリズム楽器が好きな人にお薦めで、ミルフォード・グレーブスがメインで登場。
 13日(木)は、ダンスとヴィオリンのデュオ・パフォーマンスと、ロイ・キャンベル(トランぺット)が出演。
 14日(金)は、「フレンチ・アメリカン・コネクション」と題され、詩とピアノの共演に加え、箏のミヤ・マサオカが演奏を披露。
 15日(土)は、トマス・フジワラなど若手を中心にした2グループと、インド楽器のタブラがフィーチャーされるレジー・ワークマンのプロジェクト。
 16日(日)の最終日には、ダンス、アート、ドラムの組み合わせ、3人のベース奏者とサックスのカルテット共演が、興味をそそる。パトリーシャが言うように、どの日も魅力的なプログラムだ。

 日本人として見逃せないのが、ミヤ・マサオカ(箏奏者)だろう。箏は弦の数の種類だけでもかなりバリエーションがあるが、彼女が使用するのは一絃琴、一般的な十三弦、そして二十弦箏。箏の魅力の一つは各弦(糸)を支え音程を決める柱を動かす事で瞬時に調律が変えられる柔軟性だが、即興音楽においても無限の可能性を秘めた楽器と言えるかもしれない。
 ソロではコンピュータを導入したり、ステージでは植物や虫を使った生体観察的な実験音楽にも取組むミヤは、過去に雅楽を学び、大きな影響も受けている。
 今回は箏の演奏でVFに参加。
 「素晴らしい即興、そして演奏の精神を楽しんでもらいたいです。VFはニューヨークの即興音楽の発展において重要な役割を果たし、世界中に多大な影響を与えた、アーティストが運営する芸術団体にとって先駆者的存在です」と話してくれた。
(河野洋)

Vision Festival
6月12日(水)〜16日(日)
会場:Roulette:509 Atlantic Avenue, Brooklyn
Tel: 917-267-0363
一日券:$30(学生/シニア:$20)、通し券:$140
www.artsforart.org
日本語担当(中村):nakamurakaya@gmail.com