青空と太陽、トロピカルな浜辺。そこに流れてくるハワイアン音楽。ハワイ州ホノルルで生まれた4歳の少年が手にした楽器ウクレレは、その瞬間から進化し始めた。
ギターならジミ・ヘンドリックス、ベースで言えばジャコ・パストリアス、いつの時代も革命的なミュージシャンは、その楽器の可能性を極限まで押し広げ、芸術性を高める。その意味で、ジェイク・シマブクロは正にウクレレの革命児である。
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高校卒業後、ピュア・ハートというバンドで活動を開始。次に参加したコロンを経て、2002年1月からソロに転向する。他の演奏家との共演を好む彼だが、バンドとなると経済的にも拘束されることが多い。ソロの柔軟性、瞬発性を重視しての決断だった。そして、同年7月、ソロ・デビュー作「サンデー・モーニング」を発表。
「シンプルで楽しんで弾けるウクレレの一番難しいところは、手にすることなく一日を終えること」というジェイク。ある日、ニューヨークのセントラルパークでジョージ・ハリソン(元ビートルズ)の「While My Guitar Gently Weeps」を、手軽なウクレレで披露。その映像は、YouTubeで大きな話題を呼び、彼はひっきりなしに世界中をツアーするコンサート・アーティストとなった。
「シマブクロ」という名前からも判るように、彼は日系5世。「日本人の血が流れていることを一番感じるのは練習している時ですね。数年前に日本語に『オタク』という言葉があることを知りましたが、強いて言えば僕はウクレレ・オタク」と冗談まじりに話す。
「最近、ウクレレの人気が如実に高まっていると感じます。今後5年間の行方がとても楽しみです。そして、僕にとって一番大切なことは演奏家として成長し続け、ウクレレについて学び続けることです。50年後も今と同じ喜びの気持ち一杯で、ウクレレを演奏できていることを望んでいます」と、ウクレレをこよなく愛する。
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でもウクレレって?ジェイクって誰?そんな人には彼の「ライブ」(2009年発表)を聴いて欲しい。日本の唄「さくらさくら」を始め、JSバッハ、チック・コリア、マイケル・ジャクソンの「スリラー」まで、ウクレレの可能性とジェイクの演奏力の高さが理解できる必聴の1枚だ。
「このアルバムは、ライブ・コンサートにおいて、演奏者としての僕のありのままの姿と、ウクレレの多様性をとてもうまく示していると思います」と、本人もお薦めの作品だ。
また2年を費やして撮影されたドキュメンタリー映画「Life On Four Strings」(タッド・ナカムラ監督)もジェイクとウクレレを知る為に是非見て欲しい作品。
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そのジェイクが、3月27日にマンハッタンのハイライン・ボールルームにやってくる。
「アロハ! 皆さん、応援ありがとうございます。ハワイ・ニ・キテ・クダサイ!どうぞよろしくオネガイ・シマブクロ!」と陽気なメッセージ。
ハワイのそよ風と灼熱の太陽をイメージに、ジェイクが届けるホットなウクレレ演奏をどうぞお見逃しなく。
(河野洋)
Jake Shimabukuro
■3月27日(木)8:00pm
■会場: Highline Ballroom
431 W. 16th St.
Tel: 212-414-5994
■$27.50〜$55
■highlineballroom.com |