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Vol.227:2014年4月4日号
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 よみタイムについて
河野洋: 名古屋市生まれ。12歳でロックに目覚め、ギター、バンド活動を始める。89年米国横断、欧州縦断のひとり旅の後、92年NYに移住。03年ソロアルバムのリリースと同時にレコード会社、Mar Creation, Inc.を設立。現在は会社では、アーティストマネジメント、PR、音楽、映像制作などエンターテイメントに関連するサービスを提供するかたわら、「NY Japan CineFest」「j-Summit New York」などのイベントをプロデュース。その他にも、エイズ、3.11震災後の日本復興に関わるチャリティイベントや、平和、社会、環境問題などをテーマにしたプロジェクトにも積極的に取組んでいる。
ウェブサイト : www.marcreation.com / メール: contact@marcreation.com
「オンガク喫茶」のこぼれ話はブログ「ゼロからのレコードレーベル」

よみタイムVol.227 2014年4月4日発行号

低音の歌声
ギターの響きが心地よい
アリ・ヘスト


ブロンクスに生まれたアリ・ヘストは、今なおニューヨーカーの肩書きを持つアーバンなシンガーソングライターだ。すらりとした長身のアリは、いつも少し高い目線から人々を見ている。
彼の五感を通して伝わる世界は彼の細胞と化学反応を起こし、独自の歌詞やメロディーとなって新たな世界を作り出す。心地よく響く低音の声とつまびくギターが、彼の商売道具だ。
自らも引き合いに出すジェイムス・テイラー、デヴィッド・グレイ、ホセ・ゴンザレスと言ったアーティスト同様、自分の音楽観を大切にする鋭い感性のシンガーソングライターと言える。

両親がミュージシャンで、音楽に囲まれた環境だった少年時代にも関わらず、演奏家の親心故、苦労のないよう音楽とは関係のない学校へ通わされた。が、ティーンエイジャーになると、ギターを弾くことを覚え、やがて音楽にどっぷり浸かる人生を迎えることになる。血筋は争えない。

インディペンデント・アーティストとして活動を開始したアリは、2002年、03年とツアーを積極的に続けたことで徐々にファンが増えて行く。04年になると、それを聞きつけた幾つかの大手レーベルからの契約オファーを受けた。最終的にコロンビア・レコードと契約を結び、「SOMEONE TO TELL」(04年)と「THE BREAK-IN」(07年)をメジャーリリースした。
満足いく商業的成功が得られなかったという双方合意の元、アリはレーベルと決別してしまうが、その後、ある新しい音楽プロジェクトに着手する。それは52週間にわたり、毎週1曲の新曲を月曜日にデジタルリリースするというものだった。
20ドルを払うと、毎週月曜にアリの新曲と歌声がEメールで届けられる斬新な企画は成功を収め、08年は、アリにとって生産性の高い、ファンにとっては刺激的な一年となった。
さらに、デジタル・リリースされた全52曲はファン投票にかけられ、人気を得た上位12曲がアルバム「TWELVE MONDAYS」(09年)となって正式リリースされた。
ソロ以外にもダグとのデュオ、女性シンガーソングライター、クリッシー・ポーランドとのデュオ「Bluebirds of Paradise」やカバーバンド「The Jewbadours」など、複数の音楽プロジェクトを手がけ、その活動は精力的だ。
今年6月にリリース予定の「SHOUTS AND WHISPERS」では、タイトルが示唆するように前半がバンド編成、後半がソロという2面性を打ち出すアルバムになるという。

そのアリが5月2日(金)と4日(日)、ニューヨークのステージで、同じくニューヨークの孤高の女性シンガーソグライター、スザンヌ・ヴェガのオープニングを務める。
アリの長年のパートナーであるダグ・ヨーウェル(ドラム)の紹介によって、今年4月30日からスタートする20回に及ぶ彼女との全米ツアーが実現したが、スザンヌのギタリストであるジェリー・レナードは二人の最新アルバムをプロデュースしていて共通点も多い。
今、脂が乗っているアリ・ヘスト。スザンヌ・ヴェガも一緒に楽しめるこの一石二鳥のコンサートにぜひ足を運んで欲しい。
(河野洋)

Ari Hest
opening for Suzanne Vega
■5月2日(金)開場7:30pm、開演8:30pm
■会場: The Bell House
 149 7th Street, Brooklyn
■$35 ※入場21歳以上
www.thebellhouseny.com

■5月4日(日)開場6:00pm、開演8:00pm
■会場: City Winery
 155 Varick St. (Bet. Spring & Vandam St.)
■$40-$60※3/31現在完売、キャンセル待ち
www.citywinery.com/newyork