2020年1月24日号 Vol.366

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member


ダンドラフとダンダーの違い、わかる?

辞書を引くと、「ダンドラフ(dandruff)」が「フケ」で、「ダンダー(dander)」が「鱗屑(りんせつ)」とある。もっと分かりやすくいうなら、ダンドラフ(フケ)は頭皮から剥がれ落ちた皮膚のかけらで、白くて大きくて、肉眼でバッチリ見える。一方の「ダンダー(鱗屑)」は超微粒子なので、肉眼では見えない。
 猫アレルギーの原因(アレルゲン)が、猫の唾液に含まれる「Fel d 1」というプロテインであることをご存じの人も多いと思うが、猫が毛繕いをする際にこのFel d 1がダンダー(目に見えない方)にくっついて空中に飛散し、アレルギーを引き起こすという仕組みだ。
よく「猫にシャンプーは必要ない」と言う人がいるが、フケとダンダーを考えた時、グルーミングによるシャンプー・ドライ以外に解決策はないように思う。猫は常に皮膚から油分を分泌していて、その分泌量には個体差があるが、大量分泌のフケ体質とか、毛や皮膚の質、さらには加齢など、様々な要因が絡んで、場合によっては猫が自分でする毛繕いや、飼い主のブラッシングでは追っつかないのだ。
写真は、私が研修中にシャンプーした黒猫の例。「before」はフケが体全体の毛に浮き出ていて、その段階でブラッシングして除去した抜け毛もフケだらけ。「after」がシャンプーの結果だ。
さらに研修中、一見フケが目立たない長毛種の猫が、毛刈り後、皮膚の表面がフケだらけというケースもあった。飼い主が「シャンプーはするな」というので、仕方ないので濡れタオルで皮膚の表面のフケを拭い取って、とりあえず綺麗にした。
さらに、シャンプーをすることでフケとダンダーの両方を洗い流すので、飼い主の猫アレルギーの予防にもなる。Hypoallergenic shampooなるものがあって、猫の皮膚を刺激しないよう、香料などが一切使われていない。皮膚アレルギーを持つ猫のアレルギーが緩和されるケースもある。「治ります」と確約はできないが、試す価値はあると思う。

エイブラハム・リンカーン米元大統領は猫派。ホワイトハウスで飼っていた2匹のうちのDixieを「うちのどの閣僚より頭がいい」と、猫可愛がりしていたのはよく知られる。


Kana S. Cat Grooming
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