2020年3月20日号 Vol.370

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member


ルフィーの顎ニキビ転じて皮膚インフェクション。この後、部分麻酔で「芯」を取り除いてもらった

猫の顎ニキビ

今回、何を書こうかと思っていたら、うちのルフィーが顎ニキビ転じて皮膚インフェクションの憂き目に遭った。ルフィーには悪いが、この際トピックとして取り上げさせてもらう。ずばり「feline chin acne(猫の顎ニキビ)」だ。
猫にこんなストレートな名前の皮膚疾患があることを知ったのは、20年ほど前。当時溺愛していたペルシャ猫のマクガイバーが、ある時顎から血を流していたので、即刻獣医に。確かにニキビ状の出来物が顎にたくさんできていた。顎の毛を剃って、患部を消毒してもらい、すでに膿んでいたので経口の抗生物質をもらった。数日であっさり治ったが、先生に聞いても原因がわからないということだった。意外に多くの猫が経験する皮膚の病気で、単に衛生上の問題からくるものだったり、ストレスが原因だったり、免疫系の異常が原因だったりするらしい。
手っ取り早くできるのは衛生面の改善。言うまでもないが、毎回の餌やりの際には必ず皿をきれいに洗うこと。プラスチック容器を使っている人は、陶器かステンレススチールの皿に変えよう。ベストは、重量感のあるガラス皿だと獣医さんが言っていた。そして、猫はヒゲが皿にあたるのを嫌がるので、なるべく浅い皿が好ましい。ちなみにマクガイバーは、ステンレススチールの皿から陶器に変えたらニキビができなくなった。
グルーミングの際に、グルーマーが顎ニキビを見つけることも珍しくない。すでに膿んでいるようなら獣医さんに連れて行くことを勧めるが、blackheads(毛穴に皮脂が詰まって黒くなった状態)くらいならシャンプーできれいに洗い、自宅でのケアを指導する。blackheadsとは、人間の鼻の周りにできるのと同じもの。猫の場合は絶対に絞り出さないこと。できればペット用シャンプーで顎だけ部分洗いして、毎日市販のSaline solutionを含ませたコットンで拭いてやり、改善すればそれでよし。
今回ルフィーは、実は過去数年何度も同じ場所にニキビができていて、明らかに「芯」が残っていることが原因だったので、毛を剃って、部分麻酔で芯を除去する羽目に。500ドル近い出費だった。挙句にもらった抗生物質が合わずに体調を崩した。たかが顎ニキビ、されど顎ニキビ。看過せずに、気づいてあげることから始めよう。

「タブレット画面に金魚が泳ぐ猫じゃらしアプリは、猫のストレスになります」とマーティー・ゴールドスティーン獣医。金魚を捕獲できないためのストレスだそうです。


Kana S. Cat Grooming
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