2021年3月12日号 Vol.393

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

ペディアライトとチキンブロス

本題に入る前に、2021年3月現在、休業中であることを今一度お知らせておきたいと思う。昨年の夏以降、コロナ禍による諸事情により、今は新しいグルーミングの顧客をとっていないので、ご了承ください。引き続き、このコラムでは猫のグルーミングや、健康に関する話題をお届けする。

というわけで、今回は「電解質(electrolyte)」の話。人間も、食中毒とかで吐いたり下痢したりすると脱水状態になるが、そういう時は水分+電解質の補給が必須。それは猫も同じで、ここではうちの猫ルフィー(11歳、メス)の体験談を紹介するが、あくまでも体験談。皆さんの猫が、食欲がなくなったり、何度も吐いたり、下痢をしたりしたら、躊躇せず獣医さんに診てもらうこと。これだけは念を押しておく。

で、うちのルフィーが2月23日の午後から食欲が減退し、何度かゲロを吐いた。獣医さんに診てもらったら、胃にガスが溜まっていたのが原因だったようで、とりあえず皮下点滴で水分補給をしてもらい、ガスと吐き気を止める注射を打ってもらって帰宅。その時に獣医さんから言われた猫の水分と電解質補給の方法に仰天した。「人間用のゲータレードの赤いやつをやりなさい」と。マジか! 「赤いやつ」しかだめだそうで、理由を聞いたが、うちの獣医さんエジプト人で、アクセントがキツくてよく聞き取れなかった(申し訳ない)。察するに、色によって微妙に塩や砂糖の分量が違うようだ。ちなみに、今回赤いゲータレードはルフィーには試していない。



人間の薬局のベビー用品コーナーで売られている「Pedialyte」も、猫の電解質補給にいいというので、今回はこっちを試した。ボトル入りドリンクと粉末があり、実は我が家では粉末を常備している。当然自分用だが、猫にも使えると聞いて目から鱗だった。ただPedialyteの場合も、「猫にはグレープフレーバーは与えない」という条件付き。ブドウが猫に有害なので、それが理由だと思う。

早速、常備していたPedialyteのレモンとイチゴフレーバーを、ルフィーにシリンジで少量ずつ与えた。柑橘類だけどいいのかなと思いつつ。すると、ルフィーも結構喜んで飲むではないか。シリンジで与えるとき、無理矢理一気に飲ませると気管に入って苦しむので、少しずつ口の端から入れてやるのがコツだ。

人間用の電解質ドリンクミックス「Pedialyte」は、猫の脱水症状の緩和にも使えると獣医さんに言われた。ルフィーに与えたのはこのレモンとイチゴフレーバー。柑橘類というのが気になったが、問題なかった。グレープフレーバーは猫には与えないように言われた。

あとは、電解質ってわけではないが、栄養補給になるかなと思い、チキンの茹で汁を冷ましてシリンジで与えた。おいしいので、そのうちペロペロとシリンジから舐めるようになった。横着して市販のチキンストックを買わないように。玉ネギとかが入っているので、絶対ダメ。

さて以上は拙宅の体験談。おかげでルフィーの食欲は戻ってきた。ゲータレードとPedialyteの詳細は、ぜひかかりつけの獣医さんに直接聞いて、個々に確認してください。

979匹の猫の遺伝子を調べた2009年の研究で、全ての家猫は13万年前の近東に生息していた野生の猫(Felis sylvestris lybica)を祖先に持つことが分かっている。(ジャクソン・ギャラクシー著「Total Cat Mojo」から)

Kana S. Cat Grooming
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