「MAD」の愛称で知られる「アート&デザイン美術館」(Museum of Arts and Design)。08年秋に再オープンしたこの美術館、展示面積5万4千スクエア・フィートと、こじんまりした建物ながら「コロンバス・サークル」円形交差点の南側に位置し、近隣のタイムワーナー・ビルディング、トランプ・ホテルなどと共に、コロンバス・サークルの新たな顔となっている。MADの魅力を同館の展示・企画委員も務める海老原嘉子さん(デザイン・アーティスト)に案内して頂いた。
文/構成:塩田眞実
監修/写真:海老原嘉子
すっきりした展示スペース
1階入り口わきのギフト・ショップ
MADの歴史
アメリカ・クラフト界の最大の後援者アイリーン・オズボーン・ウエブが組織した「アメリカン・クラフトマン・カウンシル」が中心となって、56年に創設された「コンテンポラリー・クラフト美術館」(
The Museum of Contemporary Crafts)が母体。初めは工業製品の普及で失われていくアメリカのクラフト再評価運動、保存、研究をおもな使命とした。86年、53丁目のMoMA(近代美術館)向かいに移転。2000年に名称を「Museum
of Arts & Design」と改称。国内ばかりでなく世界にも目を向け、工芸、美術、建築、インテリア、ファッション、ニュー・テ
クノロジー、デザイン、パフォーミングアートまでを研究対象として文字通り「現代」工芸美術に特化した独自の路線を展開している。
館内の特徴
建物はアメリカ人建築家ブラッド・クロウフィルの設計で地上10階建て。ドイツで製作されオランダで色づけされたセラミック・タイルで被われ、繊細な乳白色のグラデーションで彩られた外観は光線によって色を変え、国際的なクラフト専門美術館にふさわしい存在感を漂わせている。
作品展覧スペースは2階から5階まで。特に4、5階は、年に2回ほどの企画展にあてられ、世界中のユニークで機能的、アイデアに溢れた意欲的なクラフト作品が展示されている。昨秋の「紙」をテーマにした展覧会は大きな反響を呼んだ。 今年の10月末で終了した「Dead
or Alive展」も話題となり、10月12日から始まったばかりの「ニュー・ラテン・アメリカン・ジュエリー展」(2月27日まで)、11月9日から2月6日まで開催されるフランスのデザイナー、パトリック・ジュアンの「デザイン&ジェスチャー展」、さらに11月17日から始まる「グローバル・アフリカ・プロジェクト展」も注目を集めている。
一方、1階入口を入るとすぐ右手に人気急上昇中のギフトショプがある。すっきりしたデザインと明るい売り場、MADならではの厳選されたギフト商品が並ぶ。サンクスギビングやクリスマスを控え、ホリデーシーズン中に是非覗いてみたいショッピング・スポットのひとつだ。