2021年3月26日号 Vol.394

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ユニークな芸術を発信
徳永 慶子
ヴァイオリニスト(時々漫画家)

Keiko Tokunaga
出身:神奈川県

ランドールズ・アイランドの「さくら祭り」でパフォーマンスを披露

★ヴァイオリニストになろうと思ったキッカケは?
5歳になる少し前、弦楽器を製造する「鈴木バイオリン」を紹介したテレビ番組があり、綺麗なドレスを着て舞台でヴァイオリンを弾く同年代の女の子を観た時、「自分もこれをやる!」と親に宣言したそうです。同じ幼稚園のお友達は、ピアノやバレエを習っていたのですが、「みんなとは違うものを習いたい」と思っていました。祖母が5歳の誕生日にプレゼントしてくれたのが初めてのヴァイオリン。練習は大嫌い(笑)でしたが、人前で演奏するのは大好きで、その頃から「ヴァイオリニストになる」と決めていました。

★影響を受けた人、目標とする人は?
これまで関わってきた人たち、それぞれの魅力や芸術性に感化されることが多いです。芸術家だったり、偶然バスで隣に座ったおばあさんだったり。誰もが持っているキラリと光るモノを垣間見て、「自分もこういった素敵な面を持った人間になりたいな」と思うことが多々あります。パトリシア・コパチンスカヤさん(ヴァイオリニスト)のように、「自分の芸術」を強く持ち、それを表現することになんの躊躇もない、勇気あるアーティストに憧れます。私のモットーは「Best(一番)やPerfect(完璧)ではなく、Unique(唯一)な芸術を発信する」。自分の作り出したものを発表することは、自分の全てを曝け出すことで、とても勇気が必要です。コパチンスカヤさんは、こちらが唖然とするほど強烈なものを生み出す、とてもパワフルな芸術家。爪の垢をいただきたいくらいです。

趣味の延長で始めた漫画は自身がモデル。普通にある日常がテーマ

★これまで印象に残っているご自身のパフォーマンスは?
昨年、日本人ヴァイオリニストとして初のグラミー賞(最優秀室内楽パフォーマンス賞)をいただいたのは光栄で、嬉しかったです。面白いエピソードは、エレクトリック・ライト・オーケストラから招待され、ラジオ・シティ・ホールで演奏させていただいたこと。ライティングやスモークなどはロック音楽風なのに、弾いていたのはハイドンの弦楽四重奏という、ミスマッチ感がなんとも言えませんでした(笑)。他には、アラスカ最北端の町・ヌィクスットに行き、野外がマイナス30度という環境で演奏会をしたことです。悪ふざけで外で楽器を鳴らしてみたのですが、ものの2分で寒さによる痛みに襲われ、逃げ出しました。



★NYを活動の拠点に選んだ理由は?
高校2年生の時にNYに単身来米し、ジュリアード音楽院の予科に編入。大学3年生あたりから、当時、所属していた弦楽四重奏団でお仕事をいただけるようになり、以来ずっとNYが拠点です。

★どういうアーティストになりたい?
最近、趣味の延長で始めた漫画が少しずつ私のアイデンティティの一部になっていることに気がつきました。インスタグラムなどに投稿したことで、たくさんの方と出会う機会が増え、あたらしい世界が広がっていく感じにワクワクしています。音楽と漫画を自分の表現方法として何かオリジナルなモノを創り出していくのが今後の目標です。



★今後の予定は?
コロナ禍で表現の場を失ったNYの音楽家たちのために2020年の末、オンラインコンサートシリーズ「Jukebox Concerts(下記)」を設立。$20で全シリーズの演奏にアクセスできるだけでなく、一定額以上ご寄付いただいた方が選曲に関わることができるスタイルが人気です。3月20日、4月10日、5月と6月にもリリースが決定しています。
www.keikotokunaga.com/jukebox-concerts

tokunaga.keiko@gmail.com
www.keikotokunaga.com
instagram.com/keikonomanga


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