2021年9月17日号 Vol.406

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「当たり前」のことを大切にしたい

三富 悠斗
Yuto Mitomi
ジャズ・サックス奏者/作曲家/アレンジャー

・出身:新潟県生まれ、神奈川県横浜市出身

★サックスとの出会い
友人の兄が吹奏楽部だったのですが、仮入部の際にいろいろ楽器を触らせてもらい、その中で一番サックスが「しっくりきた」という記憶があります。音も割とすぐ出せましたし、練習することでどんどん吹けるようになるのが楽しく、そのまま現在に至る…といった感じでしょうか。「サックスの音は声に近い」と言われることもありますが、ピアノよりも音色を変えやすい点、歌いまわしの細かい表現ができるところに、魅力を感じています。

★ジャズに傾倒
最初は両親がジャズのCDを買ってきたのが、きっかけでした。音楽好きな両親で、「息子がサックスを始めたから」という程度の軽い気持ちだったと思います。ところが、自分にはその時に聴いた曲がとても印象に残り、それから興味を持つようになりました。日本の大学では機械工学を専攻していたのですが、モダンジャズ研究会に所属してから、どんどんジャズに傾倒。そこには名盤と呼ばれるアルバムが多数あり、先輩からもおすすめアルバムを教わるなど、どっぷりと浸っていました。



★エンジニアからミュージシャンへの転身
大学時代から音楽留学の願望はあったものの、具体的ではありませんでしたし、かと言って大学卒業後、「プロ一本で活動するか」と問われると、それも実力や覚悟が足りず…結局、自動車エンジニアとして就職しました。ただ、音楽は続けていきたかったですし、幸い一緒に活動する仲間やお店にも恵まれたことから、就職後もセミプロのような状態で3年ほど続けていました。エンジニアの仕事も職場や同僚に恵まれ充実していたのですが、次第に音楽との両立が難しいと感じるようになっていました。そんな時に起きた東日本大震災がきっかけで、もう一度、自分の人生を深く考えるようになり来米を決意。NY市立大学(シティカレッジ)音楽学部ジャズ科に入学しました。

★プロを意識しはじめた頃
とにかくいろんなことを吸収したい、未熟なことが多すぎる自分がプロとして活動するのは難しいだろう…という気持ちの方が強かった。プロを意識しはじめたのは卒業後、アーティストビザを取得した直後です。ビザ取得のため一時帰国した際、バンドで日本国内ツアーを行ったのですが、大勢の皆さんから「よかったよ!」と声をかけて頂いたのも、プロを目指そうと思ったきっかけになりました。自分の意識が変化したこともあってか、ニューヨークに戻ってから、仕事で声をかけられることが少しずつ増えていきましたね。

★2021年リリースのアルバム「Imaginably」について
全8曲中7曲がスタンダードや、アメリカンポップ、童謡、ボサノバなどの楽曲なので、カバーアルバムという要素が多いとは思いますが、自分たちで一つ一つアレンジして作った作品です。ギターの金澤悠人氏とは日本で2回ツアーを、ニューヨークでも定期的に演奏していたこともあり、そのレパートリーを今回のアルバムのために再度練り直して仕上げています。アコースティックギターとサックスという、あまりない組み合わせのサウンドを楽しんで頂けたら嬉しいですね。

★目指すアーティスト像とは
一言で表現するなら「息の長いアーティスト」。常に新しい作品を発表し続けられるアーティストになりたい。ニューヨークにいると、それは当然のようでとても難しいことだと感じます。応援してくれる人や、一緒に作品を作ってくれる人がいて初めて成り立つこと、そんな当たり前のことを大切にしていきたいです。

★今後の予定
NY市の助成金を受けたことから、現在はライブにむけて準備中で、9〜10月中には、自身のプロジェクトでライブを行う予定です。またミッドタウンの「トミジャズ」でも定期的に演奏しています。活動内容はウェブサイトやSNSで発信していきますので、ぜひ聴きに来てください!



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