2021年10月29日号 Vol.409

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エネルギーを感じさせる瞬間を

更井 真理
SARAI MARI
写真家

・出身:奈良県

★写真との出会い
写真の勉強を本格的に始めたのは渡米後で、サンタモニカ大学で学びました。ある映画監督に「写真を勉強してみたら?」と勧められたのが進学のきっかけです。それ以前には、カメラとの関わりは殆どありません。ただひとつだけ、日本に居た時に写真に興味を持ったきっかけとなる出来事がありました。ローカル電車で中学時代の友達と鉢合わせ、お互いの近況報告をしたのですが、彼女が通学していた写真学校の話や撮影した課題作品を見て、写真の世界に興味が湧きました。その後に勉強を始め、自分が切り撮る絵(構図)が、他の人とはまるで違うことに気がつき、やっと自分の得意分野が見つかった…それがとても嬉しかったことを覚えています。



★撮影のテクニック
撮ること、現像すること、暗室でプリントすること、全てが大好き。人物であれば動きの中から「一瞬」を切り撮るのですが、被写体が「いつも見せない素顔」を引き出すのが得意です。心理的なアプローチを仕掛け、被写体のすべてを支配・理解し、自分のコントロール下で撮影しています。「その線」を張り巡らせれば、自分の思いのままに撮影出来る。そして自分の想像を超える「何歩か先の境地」に至る写真を撮ることを目指しています。

★映像と写真の違い
写真だけでなく映像も撮っていますが、それぞれプロセスは大きく異なるものの、「自分の人間像と世界観を投影できる」というクリエイティビティに変わりはありません。もともと動きのある写真が好きでしたので、私の写真は「静」よりも「動」を感じるものが多い。いずれの方法を用いても、私が追求しているものは常に「自分の世界観」。瞬間を切り撮り、エネルギーを感じさせられる世界です。

★ニューヨークの印象
90年代に2年ほど、フォトジャーナリストとしてNYに住んでいました。以前からNYは好きな街でしたが、アメリカはそんなに好きでは無かった。ロンドン生活が長かったので、ロンドン・イギリスの方が優れていると初めは思っていました。NYに移住後、時間は掛かりましたが、新型コロナウイルスに対する政府の対応や、 NY市、ニューヨーカーの底力を垣間見て、強い街、国、人々なんだなと感銘を受けました。仕事に関しても、NYは世界のトップがひしめく場所。頂点の下には無数無限の人々が研鑽を積んでいます。マーケットが大きく、キャリアのレベルは何層にも折り重なり、次のレベルにどんどんチャレンジ出来る、自分次第で、いくらでも世界が広がる場所だと感じています。

★目指すもの
写真もさることながら、もっと映像を撮りたいですね。そして「その場所」、「その時」、「その瞬間」にしか存在しないモノ、新たなストリートフォトグラフィー(Street Photography)のスタイルで、新しいプロジェクトを展開していきたいです。

★今後の予定
12月7日から12日まで、東京で開催されるグループ展にフォトグラファーとして参加します。詳細はSNSなどで発信していきますので、ご覧ください。

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