2023年01月13日号 Vol.437

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感じる思いを歌に込めて

高野 菜々
NANA KONO
ミュージカル俳優・声優・プロデューサー

・出身:広島県

★ミュージカル「キャッツ」を観て俳優を志す
美しい歌やダイナミックなダンスに心を打ち抜かれ、大感動しました。年齢が近かった子猫役の俳優さんの澄んだ歌声に憧れ、その日から来る日も来る日も毎日自宅で歌って踊っていました。兄に「ノイローゼになるからやめて…」と叱られるほどでした(笑)

★ミュージカルカンパニー「音楽座ミュージカル」に入団
高校生の時に宝塚音楽学校を受験しましたが不合格。その後、高校を中退し通信制高校に編入、バイトとレッスン漬けの日々を送っていました。最後のチャンスと臨んだ2度目の受験は最終試験まで残ったものの不合格。人生が終わったと毎日泣いていました。そんな時、母校の広島音楽高校の先生から「ミュージカルスターの新妻聖子さんが広島でコンサートをするから、バックコーラスとダンサーとして出演しない?」と電話をいただきました。そのリハーサルで新妻さんから「あなた輝いてた!」と話しかけていただいたことから、「新妻聖子さんのようになりたい」と思うように。新妻さんが「音楽座ミュージカル『21C:マドモアゼル モーツァルト』で主演モーツァルト役で菊田一夫演劇賞を受賞」したことを知り、「音楽座ミュージカル」に入団。初対面から7ヵ月後には新妻さんと同じモーツァルト役で初舞台デビューをさせていただきました。



★パフォーマンスの醍醐味
生きていくために「水」が必要なのと同じように、私は生きるためには「物語」が必要だと感じています。物語はフィクションですがそこに真実があり、「もう会えないあの人」にも「叶えることができなかった夢」にも、物語を通して追体験することができると思っています。物語が終わると「浄化された」感覚になるのは、演じる側だけではないと思います。観ているお客様にも、同じ体験をしていただけることが、演じることの醍醐味であり、私がミュージカルを続けている理由です。

★文化庁新進芸術家海外研修員としてNYへ
2018年、短期留学でNYに来た時、クイーンズのフェスティバルで歌う機会がありました。私の歌で観客の一人が踊り始めた光景を見て「これだ!」と。それまでは「表現」とは評価されるものだと思っていましたが、一番大切なものを忘れていました。「音を楽しむ」と書いて音楽、心から湧き上がる楽しさを歌に乗せることで観客と一体になれるのです。その「心のワクワク」の続きがNYにはある。実は当時、ミュージカルの舞台に10年間立っていたもののスランプの時期で、逃げ出すようにNYを訪れたのも事実でした。NY在住のアーティストに「なぜニューヨークに来たの?」と聞かれ「自分探し」と答えると、「NYは勝負する人たちが集まる場所、生半可な覚悟なら帰って」と言われ、悔しい思いで一杯になり、「次はニューヨークに『勝負』しに帰ってくる」と決意。その後、文化庁新進芸術家海外研修員に応募し選出、2022年3月からNYで活動しています。

★目標は和製ミュージカルの米国公演
「音楽座ミュージカル」創設者は戦前生まれの女性で、作品にも平和への願いが込められています。彼女が生前、私に「あなたは広島に生まれた意味がある」と言っていました。それまで意味など考えたこともなく、もしかしたら意味などないのかもしれません。ですが、物語を演じ続ける中で、我欲を満たすために舞台に立っていると、虚無を感じてしまうようになりました。「誰に何を届けたいか」が一番の原動力になることを体感し、自分自身の故郷広島の平和の歴史を背負って物語を紡いでいきたいと考えるようになりました。いつか「音楽座ミュージカル」の作品を海外で公演したい、先陣を切って「道」を創っていきたいと思います。将来は日本とNYを活動の拠点として、私の生きるテーマ「広島に生まれた意味」を、人生や物語と役柄を通して届けたいです。

★2月17日(金) ソロライブ開催
NYに来てもうすぐ1年。この1年を「起承転結」の4ステージとして捉えた時に、学ぶだけのインプットの時期は終了。今後はインプットしたものをアウトプットする「結」の最終章として、集大成であり始まりにもなるソロライブを開催し、「現在地」を形にしたい。広島で生まれ育ち、東京で見つけたミッション、NYでの日々が教えてくれた今感じている思いを、歌に込めたいと思っています。
高野菜々ライブ・イン・ニューヨーク
■2月17日(金)7:00pm
■会場:Don't Tell Mama:343 West 46th Street
■$15(2ドリンクミニマム、現金のみ)*全席自由
https://donttellmamanyc.com

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