ニューヨークを拠点に創作活動をするアーティストの久保田祐子が、9月2日から28日まで、日本食レストラン「ちよの」(東6丁目328番地)で個展を開いている。テーマは「ベジタブル・イン・ワンダーランド」。
レストランでの個展を意識したテーマでは決してなく、もともと野菜の様々な形が好きで、過去5年間ずっと手がけてきた素材であり、テーマだという。
今回展示するのは、すべてエンコースティックという、蜜蝋(ビーワックス)と樹脂を混ぜた、独特の材料を使った作品だ。野菜、フルーツなど自然の形をモチーフに使い、それを半彫りにしてペイントしてある。野菜、果物のシンプルで素朴な形と、その上に塗られた半透明のエンコースティックペイントが、不思議な調和をかもし出している作品群だ。
エンコースティックは、熱で溶かし、それを塗ると、蝋(ろう)のようになるもので、色は油絵の具を使って調整する。「エンコースティックは、何度でもやり直しがきくし、一度作ってから思ったようにいかなかったら、削れるんです」と話す
アメリカ人画家ジャスパー・ジョーンズも、昔からエンコースティック使っているそうだ。古いところでは、エジプトの仮面などもこの技法で作られているという。
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名古屋造形芸術短期大学を卒業。91年に渡米し、ナショナル・アカデミー・スクール・オブ・ファイン・アーツでペインティング、版画、ミックスメディアなどを学んだ。今回のエンコースティックの技法もここで学んだもので、現在までに数々のグループ展、個展に出品している。
在米17年。ブロンクスのリバーデールにある自宅アパートが創作活動の場。「家には、やすりやノミから電気のこぎりという大工道具が揃っています」という。「大工作業」にも似た半彫りから、作品の制作は始まるそうだ。「細々と活動してきましたが、今後はアーティストとして本格的な活動を展開していきたいと思います」と話している。(きん)
久保田祐子個展
Vegetables in Wonderland
9月2日(火)〜28日(日)6:00pm〜11:00pm
Chiyono
328 E 6th St(bet 1st and 2nd Ave)
TEL: 212-673-3984
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