冒頭に述べたように、株価が真っ先に坂道を転落し始めた。やがて地価にも陰りが見え始める。そのきっかけとなったのは、90年3月に大蔵省銀行局長が出した「土地関連融資の抑制について」とする行政指導の通達だった。「総量規制」と呼ばれたこの通達は、不動産向け融資の伸び率を貸出全体の伸び率以下に抑えるよう求めたもので、不動産業、建設業、住宅金融専門会社を含むノンバンクへの融資については実態報告を求める「3業種規制」もつけられていた。
これに呼応するように、日銀も金融引き締めに乗り出した。89年5月から90年8月までの1年3ヵ月に5度の利上げを実施、2・5%だった公定歩合は6%台まで上昇、通貨供給量も90年こそ11・7%の伸びだったが、91年は3・6%、92年は0・6%まで抑え込んだ。遅きに失した感は否めない。(つづく) HOME