ビートルズのトリビュートバンド、ストロベリーフィールズ |
ハーレムゴスペルクワイアー (C) Blue Note Entertainment |
松居慶子 |
時は1999年、長年、ブルーノート・ジャズクラブで演奏したブルース・ギターの王様、B.B.キングは、いつか自分の名前が入ったクラブをニューヨークでオープンしたいと願っていた。
ブルーノート・エンターテイメント社は、タイムズスクエアに恰好の物件がマーケットに出た時、彼の願望を実現し、ブルーノートをモデルに全てのジャンルの音楽を楽しんでもらえるクラブを作った。
それが2000年6月にオープンした「B・Bキング・ブルース・クラブ&グリル」(以下、B.B.キングス)なのだ。
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仕事帰りで食事の時間がない人もここなら安心、人気メニューの「マック&チーズ(MAC AND CHEESE)」や「ポーターハウス・ステーキ(THE PORTERHOUSE STEAK」を食べながら音楽を楽しめばいい。
テーブル席で550人、スタンディングなら1000人が収容可能なB.B.キングスは、バス、地下鉄、グランドセントラル駅、ポートオーソリティ・バスターミナルとも至近距離。市内外どこからでもアクセスしやすい最高の立地条件である。
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4月のハイライトの一つは、何と言ってもB.B.キングだろう。U2や数多くの後続アーティストたちとも共演し、半世紀以上にわたりブルースをギターと声で継承して来たライブは必見。
4月7日の松居慶子のソロコンサートも見逃せない。1980年代に全米デビューを果たし、以来、日本人女性ジャズ・ピアニストとして一線で活躍。名実共に世界のトップクラスの彼女の演奏をぜひ堪能して欲しい。
フュージョン好きの人には、グラミー賞ジャズギタリスト部門で4度の受賞、参加したゴールド・プラチナ・ディスクのアルバム数が100枚を越える円熟のギタリスト、ラリー・カールトンのステージはどうだろう。B'zの松本孝弘との共演も未だ記憶に新しいところだが、19日のライブではカルテットを率いての演奏となる。
ファンク、R&Bファンには、重厚なホーンセクションとグルーブ溢れるビートでノリノリ気分にさせてくれるタワー・オブ・パワー(4月25日、28日)が待っている。寒い冬が続き背中が丸まってしまったニューヨーカーたちに、ベイエリアの潮風に乗って届けられる軽快でソウルフルな音楽はお薦め。
プログレファンに嬉しいのがカール・パーマーのプロジェクト(4月30日)だ。彼が在籍した伝説のエマーソン・レイク&パーマー(EL&P)は、70年代初期にクラシック「展覧会の絵」(ムソルグスキー作曲)を見事にロックアレンジし、そのライブ演奏は圧巻。その彼のパワフルなドラミングが生で聞けるチャンスがやってくる。今回は「ELP LEGACY」ということで、EL&Pの名曲がたっぷりと聞けそうだ。
また、トリビュート・バンドも多数出演。60〜70年代の音楽ファンには嬉し懐かしの選曲でロックの歴史をおさらいさせてくれる。
中でも毎週土曜日に出演するビートルズのトリビュート・バンド「ストロベリー・フィールズ」は、赤盤、青盤に収録されている名曲の数々を、サウンドはもちろんのこと、各メンバーが見た目もそっくりコピーして再演してくれる。
それ以外にもアトランティック・スター、メリサ・マンチェスター、キース・スウェットなど期待を裏切らないアーティストが目白押し。毎週日曜のサンデーブランチでは、ソウルフードに舌鼓を打ちながら、ハーレム・ゴスペル・クワイアの唄声でゴスペルを耳に歓呼してもいい。
他にもクリーム、ブラインド・フェイスのバンド時代から「愛しのレイラ」までエリック・クラプトンを満喫できる「 ベル・ボトム・ブルース」(4月13日)、メンバー全員が女性の「 ロケット・クイーンズ」(4月27日)では、ガンズ&ローゼズをトリビュートする。
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お気に入りのアーティストを見に行くも良し、仕事の疲れを癒しに行くのも良し。マンハッタンのど真ん中にあるB.B.キングスで、是非ライブ音楽をお試しあれ。
(河野洋)
B.B. King Blues Club & Grill /
Lucille's Bar & Grill
237 W. 42nd St.
(Bet. 7th & 8th Ave.)
Tel: 212-997-4144
www.bbkingblues.com |