お隣同士と言っても韓国と日本は文化も歴史も異なる。ポップ音楽でも「K・Pop」と「J・Pop」ではアルファベット一文字以上の大きな違いがある。
少女時代(韓国)やAKB48(日本)のようにアイドル、ファッション、グループ志向という類似性は見られるものの、きゃりーぱみゅぱみゅやBABY METALのように、日本は歌謡曲をベースに、欧米音楽のサウンドやスタイルの奇抜な組み合わせを巧妙に構築。
一方で、韓国は2NE1や4MINUTEなどに見られるようにヒップホップ、ダンスミュージック、R&Bなどを基盤に、韓国的エッセンスを上手く散りばめている傾向がある。
YouTubeにおいて、史上最高の再生回数を記録させた韓国人音楽アーティストPSYがK・Popの良い例である。ボストン大学国際経営学科、バークリー音楽大学と米国でビジネスと音楽を学んだ彼が、世界中ですんなり受け入れられた理由は、米国の音楽が基盤になっていたからと言える。
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インディーズの世界でもK・Popは面白いアーティストがうごめいている。2005年9月、韓国のソウルで結成されたルーサイト・トッキ(Lucite Tokki)は、チョ・イェジン(ボーカル)とキム・ソニョン(ギター)の2人が、小さなベッドルームで作ったかのような素朴な自家製音楽を世界へ向けて発信する透明感溢れる女性音楽デュオだ。
中学生の時、神聖な教会でギターに魅了されたソニョンと、ティーンエイジャーの時、友達と遊ぶことより音楽に没頭したイェジン。2人の夢は共にシンガーソングライターになることだった。
音楽への熱い想いと真摯な姿勢が、同じ大学に通っていた2人を運命的に引き合わせ、ウサギに似ているソニョンと、ウサギが好きなイェジンは、「ルーサイト・トッキ」(Tokkiは韓国語でウサギの意)を結成した。
「自分たちのセールスポイントが何かを考えることはなく、音楽への一途な愛が私たちを成長させ、前進させてくれます」と、2人は声を揃える。音楽創作、制作、宣伝活動など全てを自分たちでこなす正真正銘のインディーズ・アーティストだ。
デュオの等身大の旋律やヴォイスは同世代の若者たちの心を掴み、これまでにも数多くのテレビや映画に既に使われている。その為に書き下ろされた音楽ではなく、既成曲が使用されるというパターンばかりで、いかに2人の音楽が時代にフィットしているものであるかを示している。
「K・Pop」というジャンルで紹介されるが、ソフィスティケイトされた音は「フレンチ・ポップ」、「ブリティッシュ・ポップ」に近い。デュオという形態から、純朴なアコースティック・サウンド、無機質的なエレクトロニックなアプローチが、透明感溢れるイェジンの声にうまく溶け合う。
2人はお互いが見つけた音楽を共有し、インスピレーションを受けるという。最近のお気に入りは70年代のアメリカ人女性シンガーソングライター、ジュディ・シルや英国ポップの代表格、XTCと実に渋い。
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そんな2人は、自らカメラの前でライブ演奏を披露し、YouTubeで「トッキTV」を配信。ソーシャルメディアのプラットフォームで世界に音のメッセージを送り続けてきたが、ついに初の海外公演がニューヨークで実現することになった。
彼女たちは「GO」で歌う。
「GO! NOW!靴を選んでいる時間はないわ。ぐずぐずしないで。あなたが信じていることは正しいのよ。そしたらわかるわ…全て大丈夫。安心した? 世界に飛び込める?今があなたの時間よ。やってみるの。笑顔を忘れずに」
よみタイムにメッセージをくれたルーサイト・トッキ。
「インタビューして頂き、有難うございます。楽しかった!いつか日本で演奏できることを願っています」
ソウルから一気にニューヨークに飛び出す子ウサギ達は、これからさらに世界中を飛び跳ねていく。
(河野洋)
Lucite Tokki
■10月2日(木)
コンサート6pm・質疑応答7pm
■会場:The Korea Society
950 Third Ave., 8th Fl.
TEL: 212-759-7525
■会員/学生/$5、非会員$10
■www.koreasociety.org |